今回、さらに過去の動画も掘り起こされた。2021年4月11日に公開された早稲田大学の卒業式動画では、高田ふーみん氏が卒業生の卒業証書を受け取り、「これ滑り止めです」と言って地面に置き、尻の下に敷いた。
早稲田大学理工学術院の坂内博子教授は今年9月1日、この場面について「この学生さんが許しても、私は許さない」と投稿した。卒業証書は本人だけのものではなく、学修の成果を大学が公に証明する文書でもある。それを侮辱的に扱う行為は、個人を超えて大学と教育そのものを軽んじる。
この問題は松本洋平文部科学大臣がコメントする事態にまでなった。9月4日の記者会見で大臣は「福島大学から、学長によるコメントが公表をされておりまして、すでに配信者により動画は削除され、謝罪がなされているものと承知しているところであります。その上で、一般論として申し上げますが、学生・教職員に対しまして、尊厳を傷つけるような言動はあってはならないと考えております。また、大学の研究力については偏差値をもって判断することは適切ではありません」(抜粋)とコメントした。
文科大臣までもが苦言を呈する事態になり、事の重大さに気づいたのであろう。9月5日、高田ふーみん氏はいつもの態度とはまったく違う神妙な面持ちで、「【お詫び】福島大学キャンパス調査の動画の件について謝罪させていただきます」と題する約8分間の動画を公開し、一連の発言について改めて謝罪した。
出演者の同意を得ているが…
番組の根本的な問題は、大学入学を人間の努力や価値のほとんど唯一の証明であるかのように扱う点にある。インタビュー相手の在学あるいは卒業大学を「Fラン」と呼んであざ笑う。同番組は出演者の同意を得ていることを強調しているが、その大学に在籍する他の学生、卒業生、教職員まで差別的評価に同意したことにはならない。個人へのからかいを超え、学校名を共有する集団全体への侮辱となるからである。
しかも、この表現の対象は大学生だけではない。高校卒であれば「偏差値20」などのテロップを出す。偏差値とは、同じ試験を受けた集団の中での相対的位置を示す数値であり、大学に進学しなかった人に数値を付けられるものではない。そもそも大学に行く必要のない人生、職業は数多くあり、そうした人たちを能力のない人、努力をしなかった人かのように扱う姿勢には人間の尊厳を傷つける大きな問題がある。
この点で、自らの高い学力や資格を前面に出して企業経営をし、YouTubeでも活動する河野玄斗氏との違いがある。河野氏は東京大学理科三類(医学部)を現役で合格し、在学中に司法試験に合格するなど秀才中の秀才と言われてきた。自らの高い学力や試験で結果を出す能力を前面に出す発信はあるが、少なくとも筆者が確認した主な発信を見る限り、wakatte.tvのように、非大卒者や特定大学の学生を笑いの対象とするようなコンテンツはない。


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