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「これで一段落。皆さんには仕事に専念していただきたい。これからも一緒にがんばろう」。工作機械大手・牧野フライス製作所の宮崎正太郎社長は7月31日、日本産業推進機構(NSSK)の買収提案の検討を終了させたその日に、社員に宛ててビデオメッセージを公開した。
ニデックによる、突然の同意なき買収提案を受けたのが2024年末。対抗策として牧野フライスは、既存株主への新株予約権の無償割り当てを決定した。ニデック側は差し止めを求めて東京地方裁判所へ仮処分を申し立てたが、25年5月に東京地裁は対抗策は妥当としてニデック側の申請を却下。その後、ニデックはTOB(株式公開買い付け)を撤回した。
牧野フライスは、ニデック買収に対抗するホワイトナイト(友好的な買収者)に名乗り出たアジア系投資ファンド・MBKパートナーズと組み、株式非公開化の道を選んだ。しかし日本政府が安全保障上の懸念から外為法に基づく買収の中止勧告を発動し、26年4月末にMBKパートナーズは買収を断念することとなった。
6月には国内投資ファンドであるNSSKが牧野フライスに対し、1株約1万6000円でTOBを実施するという買収案が報じられた。しかし牧野フライスは7月31日、この提案の検討を終了させる(事実上の拒否)ことを決定した。
1年半以上にわたる複数社との買収協議を経て、牧野フライスは単独で生き残る道を選んだ。一連の交渉で何を思い、どう決断してきたのか。宮崎社長に聞いた。
ファンドの買収提案に疑問
――買収予定だったアジア系投資ファンドのMBKパートナーズが撤退し、その後に名乗り出た国内投資ファンドのNSSKによる買収提案も検討終了を表明しました。
MBKの場合は、ニデックに買収されないためのホワイトナイトだった。仕方ないとまでは言わないけれど、MBKの提案の方が事業を続けられる内容だった。牧野フライス関係者のほとんどが買収に反対していたこともある。
しかし結局は、政府がMBKに対して外為法に基づく中止勧告を出したことで買収はなくなってしまった。
24年末にニデックから同意なき買収提案を受けたとき、NSSKもホワイトナイトの候補だった。ただ彼らがデューデリジェンス(買収対象企業の価値やリスクの調査)の途中で、資金不足を理由に断念した経緯があったので、今回の買収提案にも疑問があった。
記事の続きでは、牧野フライスがニデックやファンドと相容れなかった経営方針、足元の業績好調の背景、「まだ狙われる可能性は残っている」と語る理由などについて取り上げています。