原因の1つは、選択肢が多すぎることにある。無数の教材とサービスがあるが、どれが自分に合うのか、どの順番で取り組むべきかを判断できる人は少ない。始めても正しく使えず、続かない。
ここで各社のアプローチは分かれる。PROGRITは校舎とオンラインを併用し、1日3時間の学習管理で「英語学習の型」を身に付けさせる方針を取る。RIZAP ENGLISHは店舗でのマンツーマンレッスンと高負荷の課題を組み合わせる。TORAIZは専属コンサルタントに加えてネイティブコーチをつけ、1年という長期で学習量を確保する設計だ。
対してイングリードは、教室を一切持たない完全オンライン型を選んだ。諸澤氏によれば、新型コロナウイルスによる渡航規制がかかった1週間後にこの方針を決め、20年6月にサービスを開始した。当時、英語コーチング各社の多くは対面型が中心で、教室を持たない事業者はほとんどなかったという。
固定費を持たない構造は、価格に直結する。イングリードの月額15万3780円は、3カ月換算の入会金込みで49万4340円。PROGRITの3カ月63万2500円、RIZAP ENGLISHの約3カ月63万5800円(入会金込み)と比べると、月額換算で数万円の差が生まれる。この差が、後述する受講者の選択理由に効いてくる。
月15万円でも満足度が高いという事実
イングリードが25年4月から12月にかけて実施した受講生アンケートでは、コース完了率98%、担当コーチ満足度97%、顧客満足度96%、カリキュラム満足度96%という結果が出ている。高額サービスとしては高い水準だ。
興味深いのは、費用について受講生自身がどう評価しているかである。自由回答には「他のコーチングサービスと比べると価格設定が安価に抑えられており、短期での成果をうたうようなマーケティング一辺倒ではない、より受講生に寄り添ったサービス体系になっているように感じました」「コストパフォーマンスが良い点」といった声が並ぶ。金額そのものより、対価として何が返ってくるかを評価している人が多い。
成果も数字に表れている。電機メーカーで経営企画に携わるHIROさん(44歳)は、ロンドンのビジネススクールへの短期派遣が決まり、準備期間3カ月で受講した。スピーキング能力を測るテスト「VERSANT」のスコアは33点から48点へ15点上昇し、受講後に受け直したTOEICも50点上がったという。
化粧品業界で働くPokoさん(29歳)はVERSANTが40点から60点へ20点アップ。放射線科医からAI事業へ転身したKosukeさん(39歳)は52点から65点へ13点伸ばした。前出の増田さんは15点から39点という伸びを記録している。


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