ただし、このタイプには気づきにくい消耗があります。協調性が高い人ほど、相手の気持ちに合わせすぎて、自分との境界線が引きにくくなりやすいのです。職場では頼まれた仕事を断れずに抱え込み、家庭では家族の感情にふり回されて休めない。こうした二重の消耗を起こしやすいのが、共感関係型の弱点です。
だからこそ、この才能を健やかに伸ばすには、「相手のために動く時間」と同じくらい、「自分を回復させる時間」を意識的に確保する工夫が必要になります。協調性は人生のあらゆる場面で効きますが、効かせ続けるには休む時間も必要です。
もしあなたが共感関係型に近いなら、それは控えめな美徳ではありません。世界の大規模なデータで、健康にも、心の安定にも、人間関係にも、チームの成果にも、くり返し「よい方向」に働いてきた才能です。効果の1つひとつは決して大きくありませんが、人生の広い範囲にわたって静かに効き続けるというのがこの才能の性質なのです。
誰かのために動ける自分をもう一段、誇ってよいのです。その上で、自分のための時間を確保することは、わがままではなく、エンジンを長持ちさせる整備作業だと考えてみてください。
「かしこい人を集めたチーム」がかしこいとはかぎらない
評価に反映されにくいこの力は、では成果とは無関係なのでしょうか。チームの成績が何によって決まるのかを調べた研究が、その答えを示しています。
カーネギーメロン大学のウーリーらは、2〜5名の小さなグループをたくさん集めて、合計699名にいろいろな課題を解いてもらう、2つの研究を行いました。課題は図形のパズル、アイデアを出し合うブレインストーミング、みんなで道徳的な判断をするもの、限られた資源をめぐる交渉など、幅広いものです。
これらをまとめて調べてみると、グループの成績には、ちょうど1人ひとりのIQにあたる「集団的知性」というものがあると分かりました。論文では、これを「c factor」と呼んでいます。
おどろいたことに、集団的知性は、メンバーの平均IQでも、メンバーの中でいちばん高いIQでも、うまく言いあてることはできませんでした。「いちばん頭の良い人を集めれば、いちばんかしこいチームになる」という思い込みが、見事にくつがえされたのです。それどころか、メンバー個人のIQとチームの成績のつながりは、あってもごく弱いものでした。


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