ただ、ウナギや恵方巻きとの違いとして、月見商品には、「特定の1日」ではなく「秋」という比較的長い期間販売できるアドバンテージがある。加えて、メイン食材の入手も容易だ。ウナギをめぐっては、毎年“絶滅危惧種”論争が起きるが、鶏卵であればそうした批判は起きづらい。
他方、恵方巻きについては、需要を超えた量が店頭に並び、食品ロスが起きているという批判が絶えない。もちろん月見商品も一定量は廃棄されているだろうが、需給バランスに応じて、「調理を翌日に回す」「目玉焼きではなく、別商品の材料に流用する」のように、臨機応変に対応できるのは強みだ。
また、先ほども触れたように、卵との関連性が薄くても、円形であれば“月見”とアピールできる。もちろん「これは月見なのか?」といった疑問が浮かぶ可能性は否定できないが、「月見ですが何か?」「私は連想できますけどね」と開き直ればそれまでだ。このように消費者の想像力に任せる余地は、ウナギや恵方巻きには存在しない。
秋が来なくなった時代の「秋の合図」
だが、改めて、なぜここ10年ほどで、月見商戦に各社が参入したのだろうか。答えは、「秋の訪れを感じにくくなった」という気候面の変化ではないか。それが、秋を思い出させるための月見商品に有利に働いたと筆者は考えている。
2026年から、気温40度以上の日は「酷暑日」と呼ばれるようになった。それだけ夏の暑さが際立つ時代だ。かつては「夕立」と呼ばれていた突然の雨も、「ゲリラ豪雨・雷雨」に代わり、“攻撃性のある夏”を印象づけるようになった。


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