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ビジネス #製薬 地盤沈下

「東京19位、大阪31位」の創薬エコシステム世界順位を上げるため「リスクマネーを増やす」と経産省幹部

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バイオ医薬品について語る経済産業省の井上博雄審議官(写真:編集部撮影)

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2025年5月にトランプ米大統領が発令した「最恵国待遇(MFN)」薬価政策の大統領令が日本の製薬業界、霞が関をざわつかせている。これはアメリカの高い医薬品価格を、参照する先進諸国の価格のうち最も低い水準に近づけることを目指す政策。MFN政策を受け、アメリカのメガファーマが「アメリカの薬の価格が日本の安い値段に引っ張られてしまう。だったら日本で新薬を発売するのは止めよう」と判断すれば、ドラッグラグやドラッグロスは加速するだろう。
日本に確固たる創薬力・創薬基盤があれば焦る必要はない話だが、「創薬大国」といわれたのは過去の話となった。2010年代前半の経済産業省の資料には「世界的に見ても新薬を継続的に創出できる国は限られており、我が国は、アジアで唯一新薬の生産国」と記されていた。それから10年足らずで、状況は一変している。
「創薬力向上のための官民協議会」によれば、都市別創薬エコシステムランキングで東京は19位、大阪は31位だ。最上位を占めるのはボストンやサンフランシスコなどアメリカの都市で、そこへ続くのは北京(5位)、上海(6位)といった中国の都市だ(下表参照)。日本が「アジアで唯一」の新薬生産国ではなくなった原因は複数あるが、創薬の主流となったバイオ医薬品の開発で日本が立ち遅れてしまったことが、まずは大きい。
バイオ医薬品の成長、ひいては日本の創薬エコシステムを再浮上させるためには何が必要か。厚生労働省と共にバイオ産業育成を所管する経済産業省の井上博雄商務・サービス審議官に聞いた。

――米トランプ大統領のMFN価格政策により、日本の薬価が最安値とされるとドラッグロス(非発売品の増加)​やドラッグラグ(発売時点の遅れ)が加速するといわれています。

MFN政策の問題は経済産業省として深刻な問題だと受け止めている。私が面会してきた製薬企業やバイオベンチャー、スタートアップ企業の経営者たちも先行きを懸念していた。

懸念の根本にあるのは日本の薬価制度。日本では薬価が一貫して引き下げられてきた。物によっては特許の期間中であっても引き下げられる。莫大な費用をかけて新薬を開発しても、高く買ってもらえなかったり途中で薬価が引き下げられたりするのなら投資の予見可能性が下がる。

MFN政策をうけ、アメリカのメガファーマが「アメリカの薬の価格が日本の安い値段に引っ張られてしまう。だったら日本で新薬を発売するのはやめよう」と判断すれば、ドラッグラグやドラッグロスは加速するだろう。

もちろん現実的に考えれば、日本の医薬品市場は世界第4位で11兆円ほどある。外資の対日投資額が急激に減ることは考えにくい。ただ、日本の薬価が外資の新規投資に対する抑制要因となってボディーブローのように効いてくる懸念は大きい。何かしらの手は打たなければならない。

高市政権下では創薬力向上のための官民協議会が断続的に行われており、政府と内外資の製薬企業、スタートアップが集まって協議している。7月10日の協議会では高市首相が、アメリカのMFN政策に関して国民や患者に革新的医薬品が迅速に届くように対応していくと述べた。「骨太の方針2026」でも、「米国の医薬品に係る最恵国待遇(MFN)価格政策」を挙げ、必要な医薬品などが確実に供給される環境整備を着実に進めることを明記している。対策の具体的中身はこれからだが、MFN価格政策による不利益は何としても回避するという方向で政府は動いている。

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