SNSや動画サイトなど、従来とは異なる情報源が広がり、マスメディアの報道を相対化して見る機会も増えた。「時代遅れ」という揶揄を込めて、この言葉が使われる場面も増えている。
広告市場での存在感も薄れつつある。
電通の推計によれば00年の日本の総広告費は6兆1102億円で、うちテレビが34%、新聞が20%だった。ラジオ、雑誌も合わせたマスコミ4媒体で全体の65%を占めていた。
しかし、四半世紀後の25年の状況は一変している。総広告費は8兆623億円と4年連続で過去最高を更新しているものの、マスコミ4媒体に限れば広告費は00年比で42%減少。総広告費に占める比率は29%まで下がった。広告市場の主役は、50.2%と初めて過半を占めたインターネットに移った。
利用時間に関するデータからもマスメディアの「地盤沈下」がうかがえる。
NHK放送文化研究所の「国民生活時間調査」25年版では、平日にリアルタイムでテレビを15分以上見る人は全体で71%と、20年の79%から下がった。16〜19歳は27%、20代は33%にとどまる。
スマホに奪われるメディア接触時間
博報堂メディア環境研究所の「メディア定点調査2025」によると、メディアへの総接触時間に占めるテレビの割合は06年の51.3%から25年には27.8%にまで低下。新聞も9.6%から2.4%へ落ち込む一方、携帯/スマホは3.3%から37.5%へ大幅に上昇した。

かつて情報は、新聞社やテレビ局という限られた送り手を経て世に届いた。今はSNSやYouTubeなどを通じて、個人も直接、社会に向けて情報を発信できる。
政治家は記者会見を待たずにSNSで語り、企業や著名人も自ら発信する。既存メディアは、情報を届けるだけでなく、何を報じ、何を報じないかを選ぶ仕事まで担ってきた。「選別役」として情報流通の入り口を握ってきた立場が、揺らぎつつある。
生成AIがこの変化に拍車をかける。日本新聞協会は、報道記事の無断学習や、利用者がニュースサイトなど発信元を訪れないまま答えを得る「ゼロクリック」に懸念を表明している。生成AIが複数の媒体を横断して答えをまとめれば、読者が元の記事を訪れないまま情報収集を終える可能性もある。検索流入や広告、購読料などを通じて取材コストを回収してきた仕組みが揺らぐ。
大きな変化の中にいるマスメディアだが、現在地と将来の見通しは媒体によって大きく異なる。
20代1%、30代2%
厳しいのは新聞だ。日本新聞協会によれば、新聞の発行部数は25年10月で約2487万部となり、1997年のピーク約5377万部のほぼ半分になった。新聞社全体の総売上高は、ピークだった05年度の約2兆4188億円から24年度には約1兆3109億円へと、20年でほぼ半減している。

将来への懸念も大きい。本誌が独自に入手した有力紙の「経営会議報告用資料」には、購読者の著しい高齢化を示唆する数字が並んでいた。
各ページ右上に「Confidential」とあり、「読者の実態把握」のために24年に実施された大規模顧客調査の結果が記されている。顧客属性は、20代1%、30代2%、40代5%、50代11%、60代22%、70代33%、80歳以上24%(小数点以下は四捨五入)――。60代以上で実に8割を占める。同紙編集局のデスクは「年代構成も踏まえれば、部数減少は落ち着くどころか加速しかねない。フリーフォールだ」と口にする。


