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「コミケの天下」から「天下のコミケ」へ、デジタル化で変容した即売会の存在意義と多様性を生む唯一無二の価値とは

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オタク世界を支配していた「コミケ」。その立つ位置がかつてより揺らいでいる(写真:筆者撮影)

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かつてオタク世界は「コミケの天下」であった。東京・ビッグサイトで年2回実施される同人誌即売会「コミックマーケット」はマンガやアニメ、ゲームを横断するオタク文化において支配的立場にあった。

それが、今では「天下のコミケ」の地位に後退した。いまだに世界最大の同人誌即売会ではある。ただ、存在感や影響力は以前には及ばない。オタク系イベントにおける筆頭の位置に退いている。

なぜ、このような変化が生まれたのだろうか。本質である、同人誌即売会の価値が低下したためだ。コミケは作家、媒体、販路の提供によりオタク文化における支配力を獲得した。それが電子化の影響により崩れた。その結果、権威は大きく減じたのである。

「天下のコミケ」へ、支配力を失ったのはなぜか

2026年も8月15日と16日の2日間、東京・有明にある東京ビッグサイトで第108回コミックマーケットが開催された。一般参加者数は1日13万人、延べ26万人であった。

コロナ禍当時の中断時期から数えると、10回目のコミケである。2020年に夏コミが中止され、21年末に冬コミが再開されるまで2年間の空白があった。この中断期間を経てコミケはどのように変化したのだろうか。

明らかな変化は混雑の消滅である。コロナ感染防止のため入場者数の適正化を図った結果だ。徹夜待機や早朝行列の問題も解決した。

25年の夏コミからは酷暑も克服した。空調強化で体温を超える高温状態、そしてなによりも溺れそうなほどの湿気を根絶した。筆者は1989年から40年近くコミケに通ってきたが、当時から考えると天国のような快適さである。

ただ、快適化の裏側では内容面における変化もある。それこそが、同人誌即売会としての地位低下である。

有名作家の不参加は珍しくなくなった。10年、20年と続けて参加し、新刊搬入数は1000部に及ぶ。エロ・非エロを問わず商業作品でも成果を挙げている。申し込めば間違いなく当選する。そのようなマンガ家の2割は申し込みをしていない。

参加者の購買意欲も減退している。片っ端から買っていく「お大尽」のような参加者は減った。200冊を超える購入品をしまうための大袋やカートを携行する人も少なくなった。

そこからコミケが持つ影響力の低下がうかがえる。冒頭に述べた「コミケの天下」から「天下のコミケ」への変化である。

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