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「万が一があったら…」パンダ用人工ミルク開発を決めた日本企業の舞台裏 「クマ、ゾウ、アザラシ…」"ニッチなミルク"を作る理由

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アドベンチャーワールドのパンダ
「双子が生まれると母親が本能的に1頭しか育てない」パンダ用ミルクの開発秘話(写真:アドベンチャーワールド提供)

(前編:『価格2倍でも「飛ぶように売れる水」の"正体" 育児用ミルク技術から「犬猫用粉ミルク」を開発した老舗が明かすヒットの裏側』

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1971年に森永乳業のペットフード事業部門として設立され、今年55周年を迎えた森乳サンワールド。「ペットは家族の一員」という考えのもと、犬猫用のミルクやフードなどの商品を幅広く展開している。実はそれ以外にも、世界初となるジャイアントパンダ用ミルクをはじめ、動物園や水族館の展示動物用の人工粉ミルクを開発・製造していることはあまり知られていない。

今回はパンダ用ミルクの開発秘話や、動物園・水族館が抱える課題へのサポート事業などについて、営業部リーダーの小島有紀さんと、生産業務部リーダーの丸山千尋さんに話を聞いた。

パンダは双子が生まれると片方しか育てない

森乳サンワールドがパンダ用ミルクの開発に着手したのは1987年のこと。開発者が出向先で上野動物園の獣医師からパンダ用の人工ミルクを作れないかと相談を受けたことが始まりだった。

なぜ、人工ミルクが必要だったのか。実はパンダは双子が生まれると、母親が本能的に1頭しか育てないため、もう片方は母乳をもらえず死んでしまうことが多かった。その時に備えて人工ミルクが欲しいという要望があったのだ。

「この依頼を社内で検討したとき、『中国の国宝であるパンダのミルク開発を行うなんて、万全を期しても万が一のことがあったらどうする』という不安の声もあったそうです。一方で、売上利益にかかわらず、パンダの成育に貢献するという社会的意義の大きさから支持する社員も多かったと聞いています。最終的に開発者の熱意が通じて、プロジェクトがスタートしました」と丸山さんは語る。

森乳サンワールドの生産業務部リーダーの丸山千尋さん(撮影:今井康一)
【写真を見る】「万が一があったら…」パンダ用人工ミルク開発を決めた日本企業の舞台裏 「クマ、ゾウ、アザラシ…」"ニッチなミルク"を作る理由(11枚)

母乳は動物種によって栄養成分や濃度がまったく異なる。人工乳を作る場合、お手本となる母乳を分析して、それを再現する形で成分設計をするのが定石だが、パンダは希少動物のため母乳を入手することができなかった。

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