森乳サンワールドでは、55周年の企画の一環として同社のミルクを使用している全国の動物園・水族館の29施設を日本地図にまとめ、ホームページに公開している。
『エレファントミルクがあってよかった』
「弊社の製品を使っていただいている動物園さんや水族館さんを訪問し、取材する取り組みも行っています。これまで私たちは直接現場に伺う機会がなかったので、実際に赤ちゃんがミルクをおいしそうに飲んでいるところに立ち会えて、とても感動しました。
以前訪問した『広島市安佐動物公園』さんは、マルミミゾウという世界でも3頭しか飼育されていない大変希少な動物を飼育されていて。赤ちゃんは体が小さくて、お母さんのおっぱいに口が届かなかったので、母乳を直接飲めない期間にエレファントミルクを使っていただきました。獣医さんや飼育員さんから、『エレファントミルクがあってよかったです』と言っていただけて感激しました。
そのほかの施設の方からも『ミルクがなかったらこの子は育たなかった』と感謝の言葉をいただくことが多くて。お役に立てていることが本当にうれしいです」(丸山さん)
育児放棄だけではない何らかの原因があるときに、人工乳という存在が“命綱”になっている。
さらに同社は、動物園や水族館が抱える課題に対し、専門的な知識と技術でサポートを行っている。
「動物園や水族館の獣医さん、関係者の皆さんのご尽力で、人工繁殖の技術は日々進化していますが、まだまだ未解明のことが多く、難易度の高い取り組みであることに変わりはありません。弊社ではお取引先様から相談があった場合に、調べたい動物種の母乳の分析にご協力しています。母乳の成分をデータ化することで、人工ミルクに何の素材をプラスすればいいのか判断する際に役立ちます。また、タンパク質やカルシウムを強化したいけれど、良い素材はあるかなどのお問い合わせにも対応しています」(丸山さん)
しかし展示動物用ミルク自体はニッチな商品であり、利益が必ずしも見込めるものではない。それでも製造・販売する意義は何なのだろうか。
「親会社の森永乳業が100年を超える歴史の中で培った優れた技術を生かした製品であり、社会貢献の一環として販売を続けています。市場が小さく需要も不安定な商品ですが、売上利益というよりも、希少動物の保護に貢献できるという自負が社員のモチベーションにつながっています」(丸山さん)


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