「最初から大きな壁にぶつかり、苦労したそうです。そんな中でも、論文で報告されているわずかな情報と、類縁種であるクマの母乳のデータを徹底的に収集。試行錯誤の末、88年に初期の『パンダミルク』が開発されました」(丸山さん)
その後、中国の研究機関の協力でパンダの母乳を入手することができて、母乳の分析結果とパンダミルクを比較してみたところ、成分について近い数値であることが確認できた。多少の差異を微調整し、機能性成分のラクトフェリンなどを追加して、2010年に「パンダミルク-10」としてリニューアルした。
母親の元から赤ちゃん2頭を入れ替えて哺育
和歌山県の「アドベンチャーワールド」では、2000年に初のパンダの赤ちゃん・良浜が生まれて以降、パンダミルクを使っている。特に双子の場合は、パンダミルクが最も役に立つとき。同パークでは、生後3か月ほどの期間は母親の元にいる2頭の赤ちゃんを飼育員が入れ替え、赤ちゃんが成長すると人工乳も併用して育てていた。
「赤ちゃんにはやっぱり母乳が一番いいのですが、双子だと乳量が足りません。1頭に母乳が偏らないように、片方が授乳中のときはもう片方を母親から離して人工乳を与え、2頭とも飲めるようにしていたそうです」(丸山さん)
アドベンチャーワールドで生まれたパンダは、1歳から1歳半でひとり立ちする。しかし、野生下でも1歳半から2歳くらいまで母乳を飲んでいる。1歳2カ月ごろから徐々に竹を食べ始めるため、1歳半ごろからミルクを徐々に減らし、竹とミルクを併用して与え、ミルクは2歳ごろまで与えていた。
パンダミルク以外にも、森乳サンワールドはクマミルク、エレファントミルク、海獣用ミルクの販売を行っている。いずれも動物園や水族館の関係者からの相談がきっかけで開発が行われた。


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