このほかにも、銀行・信託・証券の専門家へのオンライン相談、会員限定の預金・ローン金利優遇、店舗の優先予約、美術館の貸し切りといった特典が並ぶ。このうち家計に直接響くのはカードと金利優遇だ。ポイント経済圏が「使えば得」で競ってきたのに対し、このクラブは「置けば得」で預金を引きとめる。
一方、基本の還元率1.0%という数字そのものは、際立った特徴ではない。年会費無料の楽天カードやPayPayカードも基本的に1%還元だ。だから気になるのは最大1.6%のほうだ。いくら置けば1.6%になるのかはまだ明らかにされていないが、この水準は年会費無料のカードでは見られない。
とはいえ、最大1.6%は還元率として必ずしも高いわけではない。他社の高還元カードは、使い込む人に報いる設計になっているからだ。三井住友カードのプラチナプリファードは年会費3万3000円で基本還元率は1%だが、前年に100万円使うごとに1万ポイントがつき、実質2%になる。決済を集中させるほど元が取れる設計だ。
これに対して、エムット Excellent Clubカードには利用額の条件がない。3000万円を置けば1.0%、残高が増えれば1.6%で、カードをいくら使うかは問われないことが最大の特徴だ。
年会費を取らなくても採算が合う理由
グループ内に資産を置けば高額な年会費が無料になる仕組みは、三井住友フィナンシャルグループが先行している。Olive Infiniteは9万9000円の年会費を、三井住友銀行とSBI証券に合計5000万円を置くことなどを条件に、無料にしている。
いずれも方向性は同じだが、Oliveが複雑な条件を課しているのに対し、Excellent Clubは資格を満たせば年会費無料も還元率アップも無条件でつく。条件を組み合わせて還元率を積み上げるポイ活の攻略派ではなく、難しいことを考えずに預けておくだけで特典を受け取りたい人に向けた立て付けだろう。
ただし、その恩恵は預金や投資信託を三菱UFJ銀行に集めることと引き換えだ。資産をまとめてもらう側の銀行は、その見返りをどう計算しているのか。
三菱UFJニコスの角田社長は「カード事業単体ではなく、エムット Excellent Club全体、MUFG全体で採算が取れる仕組み」と答えた。MUFGの山本忠司リテール・デジタル事業本部長はLTV(顧客1人から生涯に得られる収益)で顧客の収益を測っているとし、「カードを起点に預金口座が取れて、投資をやっていただく」と補足する。


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