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2000年代に入り、デジタル化の波で祖業である写真フィルムが消滅危機に瀕した富士フイルムホールディングス(HD)。医療機器や半導体材料、バイオ医薬品の開発・製造受託(CDMO)へと、貪欲に事業領域を広げてきた。この“変身経営”を支えてきたのが、M&A(合併・買収)だ。
04年以降に実施したM&Aは、実に40件を超える。11年に米メルクの受託製造子会社を買収してCDMO事業へ参入。19年には米バイオ医薬大手のバイオジェンからデンマークの製造子会社を約990億円で取得し、21年には約1790億円を投じて日立製作所の画像診断機器事業も買収した。
積極的なM&Aにより、26年3月末時点で貸借対照表に計上するのれんは約9900億円に達する。それでも過去20年で大型ののれん減損損失は計上していない。M&Aで広がった事業群を、どのように管理してきたのか。21年からCFO(最高財務責任者)を務める樋口昌之氏に、経営手法を聞いた。
買収後は「集中治療室」で管理
「M&Aは、買って終わりではない。重要なのは、買った後にどうするか」と語る樋口氏が、難所に挙げるのがPMI(買収後の統合作業)だ。多くの企業の場合、M&A後から3カ月程度の「100日プラン」でPMI完了と見なし、事業部門に委ねるケースが少なくない。
富士フイルムによるPMIの場合、買収後の事業が安定して利益を出すようになるまで6段階に分けて管理する。その状態を樋口氏は「ICU(集中治療室)」に例える。「何カ月経ったから終わり、ではない。健康になって結果が出るまで、何年でもICUにいてもらう」。
本社の知的財産、人事、経理、経営企画などの部門が関与し、必要に応じて経営陣も加わる。売上高や利益、在庫といった経営データを「バイタルサイン」のように追い、計画からの下振れが見えれば早めに手を打つ。
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