JRなど関係者からのヒアリングを踏まえ、貸付料小委員会は7月31日に中間取りまとめを公表した。今後の方向性として発表された主な内容は以下のとおりだ。
- 貸付期間は30年
- 貸付料は固定制を基本としつつ、一定の経済指標などに基づく変動要素を盛り込んだ仕組みを導入すべきである
- 貸付料算定方法はWith-Without方式に代わる新しい方法を導入すべきである
- 新幹線の開業に伴う不動産収入等を貸付料に反映させることは困難である
といったもので、この方向性で新たな貸付料の算定方法を協議する。不動産、ホテルなどの受益も貸付料の算定に含めるといった財政審による提案は排除されたが、JR東日本は納得していない。「合意内容を議論の出発点として、上場企業として株主・お客様・地域の皆様に説明がつく内容で合意を目指したい」と矢野氏は話す。
「建設費高騰で貸付料上げる」は納得できず
実は根本的な問題がある。取りまとめ文書に「貸付料の適正な確保を通じて、新たな新幹線ネットワークの着実な整備が進められるようにすること」と明記されていることである。
整備新幹線の建設費は貸付料を除いた金額について国と地方自治体が負担することになっている。しかし、近年は建設費が高騰し、国は将来得られる貸付料を前倒しで活用している。さらに、貸付料を引き上げれば、国と地方自治体の負担を減らせる。つまり貸付料があたかも打ち出の小槌のように使われているのだ。
しかし、仮に北陸新幹線(高崎―長野間)の貸付料を引き上げたとして、それがJR東日本と関係のない整備新幹線の建設財源として使われるのでは、JR東日本には納得がいかない話だ。矢野氏は「自社エリア外の整備新幹線建設費が高くなるから貸付料を上げるというロジックで算定されることは受け入れられない。自社エリア外の整備新幹線建設費のために貸付料が上がり、その結果として運賃を上げざるをえなくなったとしたら、エリア内のお客様に納得いただくのは非常に難しい」と説明する。

