こうした国の姿勢に反発したのが、JR東日本である。国交省の諮問機関である交通政策審議会が2025年11月〜2026年7月に開催した整備新幹線貸付料に関する小委員会で、徹底的に反論した。
根拠として、JR東日本が公表したのが、1991年、1992年、1996年、1997年、2016年の5回にわたって国とJR東日本の間で交わされた合意文書である。
とくに1991年の合意文書では31年目以降の貸付料について、「施設の状態に見合った維持管理等に要する費用を根拠として算定される」「貸付期間中の定額の貸付料の額をもって上限とする」と明記されている。その後の合意文書ではこの内容が双方の間で確認されてきた。「この合意を前提に30年間の投資判断を積み重ねてきたので、これをひっくり返されると、今後の投資判断ができなくなる」と、JR東日本経営企画部整備新幹線等調整ユニットの矢野隆介マネージャーが訴える。
「利用者増えた分の追加徴収はおかしい」
「JR発足の経緯として、民間会社としての企業努力を最大限引き出して、世の中の便益を最大化していこうという点があった」と矢野氏は話し、貸付料についても「貸付料が決定した後にJRが経営努力を行い、利益を増やしていくスキームである」と説明する。
2005年に登場した旅行会員組織「大人の休日倶楽部」、東北新幹線や北陸新幹線に設定された最上級席「グランクラス」、新幹線荷物輸送「はこビュン」など、JR東日本が新幹線で利益を増やすための取り組みは数多くある。「JRの頑張りで利用者が増えたからその分を追加で徴収するという考え方はおかしい」と矢野氏は主張する。
ほかのJR、すなわちJR西日本、JR九州、JR北海道も基本的にはJR東日本と同一スタンスである。北陸新幹線(高崎―長野間)の31年目以降の貸付料に関する考え方がそれ以降に期限を迎える線区の貸付料の基準になると思われ、各社とも現行よりも貸付料が割高となるスキームは避けたいところだ。

