とはいえ、受益の全額をすべて貸付料として支払ってしまうと、JRにとって整備新幹線を運行するメリットがなくなってしまう。そこで、JRは貸付料算定時に用いられた予想額よりも受益を増やす努力をする。観光キャンペーンなどの営業施策によって利用者が予想よりも増えれば、収入が増える。
また、省エネ車両を導入して動力費を減らしたり、IT化を進めて人件費を減らしたりといったコスト削減も行われている。さらに、JRが新幹線駅周辺で商業施設やホテルなどを開発すれば、これらは鉄道事業ではないので貸付料算定時の受益には含まれず、グループ全体の収益に貢献する。
1997年10月に開業した北陸新幹線(高崎―長野間)は2027年9月に貸付期間が終了する。31年目以降の貸付料をどうするかは国とJRが協議をして決めることになっているが、先手を打ったのは国だった。
国は「貸付料引き上げ」示す
国といっても、国交省ではなく、財務省の諮問機関である財政制度等審議会である。新幹線を建設したい国交省に対して、財務省は少しでも財政負担を減らしたい。2024年10月に開催された財政審の分科会で「31年目以降もしっかり徴収していく必要がある」という説明がなされた。
北陸新幹線が2015年の金沢開業時に実績が需要予測を大幅に上回ったという事例を引き合いに、貸付料算定時の需要予測と実績を比較して実績が上回った場合には、上回る部分を貸付料として追加的に徴収できるような算定方式への見直しが必要だという。また、鉄道収入のみならず、新幹線開業に関連する不動産やホテル、商業施設などの事業による収益も算入すべきといった説明もなされた。

