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「初日は突然、目の前が真っ暗に…」「食事量を2倍に」62年間"男の仕事"だったうなぎパイ職人「錬士」に40代女性がなったワケ

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うなぎパイ職人の清野麻由美さん
「うなぎパイ職人は男性の仕事」。その常識を覆した1人の女性がいる(写真:有限会社春華堂)
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認定試験に合格し、晴れてうなぎパイ職人になれたとしても、そこから順当にキャリアを積み重ねていけるわけではない。技術を習得できるまでには個人差があり、錬士から範士に上がるまでの年数は人によって違う。

取材中、師範の清瀧さんが「錬士から範士になるまで、早い人でも6年ぐらいかかっていました」と教えてくれた。その話を聞いて、目を見開き、誰よりも驚いていたのは清野さんだった。

「私も最初は『師範を目指して頑張ります』とか言っていたんですよ。でも、実際に作業をしてみたらわかったんですよね。そういう次元の世界じゃないんだって。生地の状態に合わせた砂糖の振り方、生地の伸ばし方、さらに生地の膨らみ具合や焼いた時の色付きとの関係など、やればやるほどわからないことに気づくんです。一朝一夕にはできないことばかりで、挫けそうになる時もあります」

熟練の職人であっても、安定して良い生地に仕上げることは難しい。生地の質感や伸び具合に合わせて力加減を調節したり、パイローラーのメモリを修正したりしながら、良い製品を目指さなくてはならない。長年の経験と感覚が頼りになる領域だ。うなぎパイ職人であれば誰もがぶつかる壁に、うなぎパイ62年の歴史上初となる女性職人として、清野さんは立ち向かっていた。

師範・清瀧さん指導のもと、生地を仕上げる清野さん。熟練の職人によるサポート体制が充実しているのも春華堂の強みだ(写真:有限会社春華堂)

「何歳までできるかわからない」それでも限界に挑むワケ

清野さんにはもう一つ、気がかりなことがある。それが年齢の壁だ。どれだけ体づくりを頑張っても、体力の限界を感じる日も少なくない。頭の片隅には「何歳までできるのか」「あと何年できるのか」という考えがよぎる。それでも現場に立ち続ける。

「錬士になった当初から、どの工程でも活躍できるオールラウンダーな職人になりたいと思っていて、その思いは今も変わっていません。体力的には大変なことが多いですが、コンディションを維持しながら、長く続けていきたいですね」

年齢の壁にぶつかるのは、周囲の男性職人も同じだ。体力勝負の工程は負担が大きく、腱鞘炎などのけがも起こりやすい。こうした現状を顧みて、春華堂では数年前から「健康経営」を掲げ、職人が長く働ける仕組みづくりを始めている。その一つが、毎日の朝礼で行う「職人体操」だ。

YouTubeで一般公開されている「うなぎパイ職人体操」(画像:有限会社春華堂YouTubeチャンネルより)

職人体操は、地元・浜松のフィジカル健診センター協力のもと作られた春華堂オリジナルのストレッチで、2024年4月に導入した。職人の体力年齢や作業中の動きを細かく分析し、疲労の軽減やけがの予防につながるよう考案されたものだ。ほかにも、職人が長く働けるよういくつかの取り組みが行われている。

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