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「初日は突然、目の前が真っ暗に…」「食事量を2倍に」62年間"男の仕事"だったうなぎパイ職人「錬士」に40代女性がなったワケ

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うなぎパイ職人の清野麻由美さん
「うなぎパイ職人は男性の仕事」。その常識を覆した1人の女性がいる(写真:有限会社春華堂)
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春華堂が求人を出したのは、職人不足の問題に直面していたからだ。2020年の新型コロナウイルス感染症の影響で人の流れが止まり、お土産需要が激減。売上減少に伴い、工場の生産ラインを止めざるを得ない日もあった。先の見えない状況に不安を感じ、退職を選ぶ職人も少なからずいた。

2023年10月に通知されたうなぎパイ欠品のお知らせ。コロナの影響による職人不足など、内情が書かれている。静岡県内スーパーのお土産コーナーに掲示されていた(写真:筆者撮影)

2023年、新型コロナウイルス感染症が5類に移行したことをきっかけに生産量を増やす方針に転換したものの、職人の数が足りない。同社で唯一の師範、清瀧貴之さんは、当時についてこう振り返る。

「人が少ない状態で生産量を増やしても、皆の体力が持たない。それで、門戸を広げて職人の数を増やそう、女性でもやりたい人がいるならやってもらおうよという話が持ち上がったんです」

清野さんが入社する前、女性で職人を目指した人もいたが、大変な作業のため継続が難しかったという(写真:有限会社春華堂)

5kg以上の生地玉に、全体重をのせる

なぜ、これほどまで「うなぎパイ職人は女性に難しい」とされてきたのか。答えは、生地に触れるとわかる。

仕込みで職人が向き合うのは、5kg以上の生地の塊(生地玉)だ。生地を練り、最初の数回こそ大型ローラーを使うものの、そこからはすべて手作業だ。つま先立ちになり、めん棒に全体重をのせて伸ばし、折りたたむ。生地を均一に伸ばす機械「パイローラー」にかけてならした後、また伸ばして、折りたたむ。

この作業を約1000層になるまでひたすらくり返す。平常時は800玉以上、繁忙期はその1.5倍の量の生地玉を数人で仕込む。

それだけではない。続く「仕上げ」では、生地に砂糖をまぶしながら、めん棒で伸ばしては折り重ねる作業を約9000層になるまでくり返す。生地の状態はバターの固さや生地の乾燥具合などで変化するため、伸ばし方や折りたたみ方もその都度調整がいる。それでいて、1つの生地にかけられる時間は2分程度だ。

職人が使用するめん棒。上が新品のもの、下が半年ほど使用したもの。比べると、使い込まれているのがよくわかる(写真:有限会社春華堂)
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