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ビジネス #製薬 地盤沈下

製薬企業が一様に叫ぶ「日本の薬価は安い」は真実か? 「費用対効果」の専門家がデータを基に解読しよう

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米トランプ大統領の最恵国待遇(MFN)政策で製薬業界が騒然となっている
  • 白岩 健 国立保健医療科学院 保健医療経済評価研究センター上席主任研究官

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アメリカの最恵国待遇(MFN)政策によって、薬価が低い日本ではドラッグラグ(発売時点の遅れ)やドラッグロス(非発売品の増加)が進むと言われている。本当なのか――。
アメリカ国内の医薬品価格を抑えることを目的に米トランプ大統領がMFNの導入を掲げたのは2025年。アメリカ国内の医薬品価格を国外水準に合わせる政策だ。この動きを受け、日本国内で集中砲火を浴びているのが、先進諸国の中でも最安値水準にあるとされる日本の薬価。薬価を引き上げなければメガファーマが日本国内での新薬投入に慎重になりドラッグラグやドラッグロスが加速する、と製薬業界は叫ぶ。
業界団体である日本製薬工業協会(製薬協)は7月の定例会見で、政府にMFN対応策を求めた。理事の一人は「日本はアメリカに比べて薬価が低い、しかも下がり続けている」と指弾し、薬価や費用対効果のあり方を見直すよう政府に求めた。これに応える形で政府は、「骨太の方針2026」の中で「MFN価格政策にも対応し、必要な医薬品等が日本国内に確実に発売されるよう、環境整備に取り組む」と踏み込んだ。
製薬業界が唱える「日本の薬価は安い」は、はたして真実なのか。費用対効果の専門家が解読する。

費用対効果で薬の価格を調整する仕組みが日本で動き出したのは2019年。私はこの分野をずっと専門にしてきた。費用対効果を検証した結果、薬価を下げる結論となることが多いため、残念ながら費用対効果は製薬業界から好かれていない。「薬価を下げてばかり」とみられているからだ。(もっとも、費用対効果の検証を担う仕事が嫌われるのはどこの国でも同じで、そういう役回りだ)

しかし、私は医療の世界に費用対効果の視点は欠かせないと思っているし、製薬が大切な産業であることもよく理解しているつもりだ。そして、費用対効果の徹底と製薬産業の成長は両立しうると私は信じている。

そのうえで、製薬業界やメディアでよく指摘される「日本の薬価は諸外国に比べて安い」という“定説”には疑義がある。都市伝説といえるかもしれない。

比較制度研究の観点から見れば、日本の(費用対効果評価を含めた)薬価制度や医薬品給付のあり方は、国際的に少し特殊だ。もちろん特殊であることは必ずしも悪いことではない。ただ、ことMFNの影響を評価する際は、日本の特殊さが思わぬ副作用を招いている気がしている。平たく言えば、まじめにやっているのに、いろいろと損をしているのだ。

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