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「東大生=コミュ障」「推薦組=勉強できない」を鵜呑みにする人に足りない視点 「認知vs非認知」論の危険な落とし穴

8分で読める
2人の高校生
「認知能力vs非認知能力」論争に足りない視点とは(写真:ふじよ/PIXTA)
  • 西岡 壱誠 一般財団法人ドラゴン桜財団代表理事・ドラゴン桜2編集担当
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非認知能力の研究における第一人者の中山芳一先生は、『非認知能力の強化書』の中でこう指摘されています。

「認知能力と非認知能力は、二項対立で捉えるべきものではない。なんとなくイメージで『認知能力が高いと非認知能力が低い』『非認知能力が高いと認知能力が低い』というようなトレードオフ関係で捉えてしまいがちだが、そんなことは全くない」

具体的な話で考えてみましょう。

例えば、「一般入試で受かる子=認知能力の塊」というイメージを極端に押し進めると、そこに現れるのは「記憶力だけがマジで異常に高い、コミュ障のガリ勉」というステレオタイプですよね。

小さい頃からずっと机に向かって勉強してきて、人間関係は苦手。友達も少ない。会話は続かない。でも、テストの点数だけは異常に取れる……こういう難関大合格者のイメージです。東大生っていうと、なんとなくこんなイメージですよね。

でも、実際に東大に入って周りをぐるっと見渡してみると、こういうタイプはそりゃあゼロではないんですが、決して多数派ではありません。というか、そもそもそういうタイプでは、東大に受からないんです。

「認知」も「非認知」も両方持てる

考えてみてほしいんですが、たとえば、数学の成績を上げようとしたら、どんな力が必要でしょうか。数学的な素養も必要になりますが、それ以外の能力も求められます。

数学の問題集を、いつまでに何ページやり終えるか、自分でスケジュールを組む力。 問題を間違えたとき、「どこで間違えたのかな」「どうすれば次は間違えないかな」と冷静に振り返る力。 何カ月も、来る日も来る日も同じ問題集に向かい続ける忍耐力。 できなくて悔しい気持ちを、投げ出さずに次のエネルギーに変える力。

これらは全て、非認知能力です。計画性、内省力、忍耐力、感情のコントロール。どれ一つ取っても、ペーパーテストでは測れない、まさに「心の力」です。

だから、一般入試で結果を出している子というのは、実は非認知能力もしっかり持っている子ということになります。逆に、非認知能力がまったくない状態で、認知能力だけをぐんぐん伸ばすというのは、原理的にはほぼ不可能なんです。

「東大生=記憶力だけのコミュ障」というイメージは、だからそもそもファンタジーに近い。もちろん一部にそういう人もいますが、大多数は、目に見えない力を地道に積み上げてきた、いわば「静かに非認知能力を鍛えてきた人たち」になります。

これを指して、中山先生は「そもそも二項対立で考えるべきではない」と指摘しているわけです。

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