有料会員登録 東洋経済オンラインとは
政治・経済・投資

傷口が開いたまま退院、救急搬送を呼ぶと4万ドル請求…あなたの健康と財布を人質に取る、PEによる「医療現場の乗っ取り」

7分で読める
救急外来
PEにとっては、医療現場も「都合の良い集金システム」に過ぎない(写真:vichie81/PIXTA)
  • ブレンダン・バルー 元・米連邦検察官、元・米司法省反トラスト局プライベート・エクイティ担当特別顧問

INDEX

「傷口が開いたまま退院させられ、翌日縫合のために呼び戻される患者」「現場で折れて患者の体内に残る、極限まで安物に変えられた注射針」——。これは発展途上国の話ではない。現代の医療先進国であるはずのアメリカで、実際に起きている医療崩壊の現場だ。新刊『プライベート・エクイティ資本主義が世界を食い尽くす』(ブレンダン・バルー著)から一部抜粋・再構成し、患者の健康と命、そして財布を人質に取り、極限までコストを削って法外な請求を突きつける、医療の皮をかぶった「略奪ビジネス」の闇を明らかにする。

注射針を「折れやすい安物」に変えるコストカット

『プライベート・エクイティ資本主義が世界を食い尽くす』(書影をクリックすると、アマゾンのサイトにジャンプします。紙版はこちら、電子版はこちら。楽天サイトの紙版はこちら、電子版はこちら

アメリカの医療費の高さは日本でも有名だが、今、その高騰の裏で「医療の質そのものの致命的な劣化」が起きている。

その主犯が、病院や診療所、救急医療現場に怒涛の勢いで浸透しているプライベート・エクイティ(PE)ファームだ。

PEファームのビジネスモデルの本質は、買収した企業のコストを限界まで削り、短期的な利益を最大化して転売することにある。この論理が医療現場に適用されたとき、恐るべき事態が引き起こされた。

ブルームバーグが報じた大手皮膚科チェーン「USダーマトロジー・パートナーズ」の事例では、PE傘下の本社が医療スタッフへの事前の相談もなく、注射針を極端に安価なノーブランド品に切り替えた。

現場の医師によれば、その針はあまりに品質が劣悪で、「患者の皮膚に刺さったまま、体内で折れる」事故が頻発したという。

2/4 PAGES
3/4 PAGES
4/4 PAGES

こちらの記事もおすすめ

あなたにおすすめ

政治・経済・投資

人気記事 HOT

※過去1ヶ月以内に配信した記事の閲覧数