医療現場の乗っ取りによって、患者が受ける最大の被害は、治療が終わった後に届く身の毛もよだつような「サプライズ請求(予期せぬ高額請求)」である。
サプライズ請求とは、患者が「自分の医療保険が適用されるネットワーク内(提携内)の病院」を必死で探して受診したにもかかわらず、その病院に派遣されていた救命医や麻酔医が「保険ネットワーク外(非提携)」のPE傘下の医師だったために、後から提携外の法外な自由診療料金を直接患者に請求する仕組みだ。
例えば、ヘリコプターを用いた航空救急搬送の約5分の3はPEファームに支配されており、1回の搬送につき平均4万ドル(約600万円)もの天文学的なサプライズ請求が患者に突きつけられる。
都合の良い集金システムでしかない
この社会問題に対し、連邦議会は2020年末にようやく「サプライズ請求禁止法」を可決した。
しかし、巨大PEによる凄まじいロビー活動(数千万ドルにおよぶ政治献金と、テレビ広告による世論誘導)の結果、最も高額な「地上救急車(搬送)のサプライズ請求」は法律の対象から丸ごと除外され、さらに請求額の決定プロセスもPE側に有利な「仲裁システム」へと骨抜きにされた。
人の弱みにつけ込み、選択の余地のない「緊急の瞬間」を狙い撃ちして富を吸い上げるプライベート・エクイティ。彼らにとって医療は人助けではなく、法的責任を回避しながら他人の金で暴利を貪るための、単なる「都合の良い集金システム」に過ぎないのだ。


※ログイン後、コメント入力が可能です。