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政治・経済・投資 #小幡績教授のアフターエコノミクス

ジョージ・ソロスは学者の道を諦め、ケインズは目をつぶった…経済学の理論が成立することを阻む〈経済の現実〉

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学者の道を諦め、相場に身を投じたジョージ・ソロス(写真:ロイター/アフロ)
  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
※本記事は2026年9月1日6:00まで無料で全文をご覧いただけます。それ以降は有料会員限定となります。

INDEX

前回、ケインズが『一般理論』で示唆し、トービンのqにつながり、さらに、現在の経済学者や金融関係者たちが、当然のこととして受け入れている「株価が上がると企業は実物投資を増やす」という議論は、2つの意味で間違っていると述べた。

第1に、実際に企業は実物投資を増やすとは限らない。それは文脈、状況、時代による。

第2に、論理が破綻している。しかも、ケインズの下心の核心の「資本の限界効率」に関する議論が間違っている。これはケインズとしてはあり得ないし、致命的だ。

なぜ、株価が上昇すると資本の限界効率が上昇するのだろうか?

この問いに対する生徒としての模範回答は、「わからない」である。なぜなら、株価が上昇しても、資本の限界効率は上昇しないからだ。

株式市場の過大な期待を利用すればいい、というケインズ

なぜ、ケインズは、初歩的な過ちを犯したか? 下心から、ということになるのだが、彼の上述の記述の論理を追うと、ケインズの誤った議論の道筋は明快だ(ケインズが本当に考えていたことは……という妄想の議論は、ここでは排除する)。

再掲すると、ケインズは「もし株式取引所において新計画の株式を売却し、即時的利益を得ることができるなら、その経済に莫大と思われるような金額を支出する誘因も存在するからである」と書いている。つまり、新規に株を発行し、その資金の一部で、経済(実体経済、実物の世界)に莫大な支出をしても、儲かる、ということである。

ここで、支出は投資であり、なぜ投資をするかというと、ケインズの脚注によれば、資本の限界効率が上昇するからである。なぜ、上昇するか、というと、その投資が儲かる見込み、だからである。これは、資本の限界効率の章でケインズが述べているように、事後の確定した利益率ではなく、期待に基づく見込みによる、ということである。

だから、株式市場の過大評価は、この企業への過大な期待であり、それを企業側は利用するのだが、その過大な期待に沿って、過大な期待のおかげで上昇した資本の限界効率に基づいて、投資を拡大するということである。

ケインズが以前に述べた言葉に従えば、企業とは、実体に基づく活動であり、投機とは、金融市場での将来期待の予測ゲームであるから、後者の金融市場の予測ゲームによる評価により、前者の企業が、経済の真正な状況をわかっている、あるいは、わかろうとしているのに、その投機ゲームの評価に従って、そのまま行動することになる。

これは間違っている。

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