つまり、ここで述べている「グローバリゼーション2.0」と関連づけて述べれば、紀元前3000年頃の台湾において農耕を営む言語集団が形成され、その一部が(カヌーなどを使って)南方へと移動し、
・ニューギニア(紀元前1500年頃~)
・サモア・トンガなど西ポリネシア(紀元前1000年頃以降)
・ハワイ、イースター島、ニュージーランド等々(紀元後)
という具合に、とてつもなく広い領域に拡散していった。さらに驚くべきことに、この言語集団は、西はアフリカ東岸のマダガスカルにまで到達しているのだ。
そのため地球上のこれらの地域の言語は、上記の「オーストロネシア語族」という、互いに類似した言語のグループに入っているのである。
ちなみに視点を変えれば、台湾をルーツとするオーストロネシア語族の言語は、以上のように台湾から“南方”に広く広がっていったが、台湾→先島諸島(石垣島、宮古島等)→沖縄本島そして日本方面といった、“東方”のルートには伝わらなかった。
そうであるがゆえに、日本語と沖縄の言語(琉球諸語)は上記のように類縁関係にあるのに対し、それは台湾を起点とするオーストロネシア語族とは言語的にまったく異なっているのだ。
この場合、地図を見ればわかるが、台湾と石垣島の距離は、石垣島と沖縄本島の距離よりも近い。
にもかかわらずオーストロネシア語族の言語が台湾から東方ルートに拡散しなかったのは、台湾近辺には北から南に流れる海流が流れており、そのため船は自ずと南方に向かうため、東方に向かうには海流を横切る(または逆らう)というハードルがあり、一定規模以上のまとまった集団の移動が困難なこと等が理由と考えられている。
いずれにしても、こうした例にも示されるように「グローバリゼーション2.0」は、農耕を基盤とする集団が言語(語族)とともに拡散し、地球上の「言語地図」の原型を形成していったプロセスだったのである。
グローバリゼーション2.5と「枢軸時代(精神革命)」
議論を急ごう。グローバリゼーション2.0について概説したが、現在の世界の状況から見て特に興味深いのは、次のグローバリゼーション2.5である。
グローバリゼーション2.5が、ドイツの哲学者ヤスパースが「枢軸時代」、科学史家の伊東俊太郎が「精神革命」と呼んだ時代ないし出来事と重なり、それは紀元前5世紀頃に、現在に続く普遍的な宗教ないし思想――インドでの仏教、中国での儒教や老荘思想、ギリシャでのギリシャ思想、中東での(キリスト教やイスラム教の源流となった)旧約思想――が、これら地球上の各地域において“同時多発的”に生じたことを指しているという点はすでに触れた。


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