以上がグローバリゼーション1.0だが、約1万年前に始まった農耕(および牧畜)あるいは食料生産を契機とする「グローバリゼーション2.0」において、地球上での人類の拡散あるいはグローバリゼーションの意味は大きく変わることになる。
すなわち農耕の成立によって、
という巨大な社会構造が生まれる。さらに農耕民・牧畜民の移動によって、言語・文化・技術も大規模に移動することになる。
農耕・牧畜の拡散と人口移動による「言語地図」
グローバリゼーション2.0がグローバリゼーション1.0と違うもう1つの点は、それは「一つの波」ではないこと、つまり農耕の起源は地球上に複数存在することだ。
すなわち、以前は西アジアないしメソポタミア近辺ーーいわゆる肥沃な三日月地帯――が単一の農耕の起源であるとする見方が有力だったが、現在は農耕の起源は複数存在し、そこから拡散していったという理解が一般的である。
具体的には、西アジア(小麦・大麦)、中国北部(アワ・キビ)、中国南部(稲作)、ニューギニア(根菜農耕)、メソアメリカ(トウモロコシ)、アンデス(ジャガイモ)などだ。
そして農耕の開始を契機とするグローバリゼーション2.0の大きな特徴は、言語の基本的グループである「語族」(language family)」のルーツの形成と拡散が、この時期に進んでいったことである。
語族とは、インド・ヨーロッパ語族、アフロ・アジア語族、シナ・チベット語族、オーストロアジア語族、オーストロネシア語族などといった、言語の大きな分類区分、あるいは共通の祖先となる言語から分かれた言語のグループを指す。
上記のように、農耕・牧畜は、(グローバリゼーション1.0の段階の)狩猟採集社会に比べて、一定の規模以上の集団が共通の規範の下でまとまった単位で行動するので、統合力が強く、同一の言語を話す集団が明確に形づくられる。
そしてグローバリゼーション2.0ではそうした集団が地球上の各地に移動していくため、農耕・牧畜の拡散と人口移動が地球上の「言語地図」そのものを形成し、かつ変えていくことになるのだ。


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