となると、このような競争への資金を債券で調達するときに、資金の出し手は、それほど豊富でない、あるいは、高い利回り、かつ高いリスクプレミアムを求める。さらに、数回のラウンドで破綻する企業も出てくると、リスクプレミアムは跳ね上がる。そうならなくとも、この過熱競争が続けば、今は、ブームの初期だから、熱にうなされて資金の出し手はいるが、ブームが定常状態になり、冷静になったら、資金の出し手は激減するだろう。なので、前途多難なのである。
これは、まったく大げさでない。データセンターやAIインフラ投資などで、今年のテクノロジーセクターの債券発行額は約5400億ドルに達するとの予測もある。また、アメリカ政府の2026年第3四半期(7~9月期)の市場からの借入額(新発債による調達額)は約7000億ドルと見込まれており、これは米国債新発市場の4分の1近くに当たる。
すでに、これは十分危険水域なので、これらの資金調達のかなりの部分は、いわゆる循環投資で、ハイパースケーラーとAI企業、半導体関連企業、彼らの間でお互いに資金を出し合い、お互いに発注し合い、売り上げとして回収することによって、資金の回収を図っている。逆に言えば、そうでもしないと、資金を出せない、ということであり、すでに「パンパン異常状態」であり、この後、数年、これが持続できるとは思えない。
アメリカ政府の財政問題に加え、リスク許容度も限界に
第3に、これに拍車をかけているのが、アメリカ政府の財政問題である。赤字が拡大、それが継続し、利回りの上昇で利払い費の増加も加速していることから、ハイパースケーラーなどと相乗効果で、債券市場に債券をあふれさせている。
株式であれば、まさにバブル崩壊の前兆なのだが、債券でそうなってしまうと、株式と違って、価格が半分になれば、買い手が現れるということはなく、市場はフリーズ(凍結)してしまうので(08年のリーマンショックの1年前に起きたパリバショックのように。しかし、あのときとはスケールが違う。当時のサブプライムなどという部分的市場ではなく、債券市場全体だ)、金融市場の終わりとなってしまう。だが、そうはならないはずだから、その前に、債券市場は急ブレーキがかかるだろう。
第4に、リスクプレミアム、タームプレミアムが拡大している。これは、リスク許容度の限界に近づいてきていることの現れである。長期国債の利回りの上昇の一部はインフレの見通し、もう1つは需給(長期の方がバランスの崩れが、価格に大きく反映される)、そして、発行体の破綻懸念である。破綻懸念、デフォルト懸念と、価格下落懸念は、まったく異なる。
現状では、ほとんどが、価格下落懸念であり、デフォルトの議論をすることは意味がない。投機的な動きで仕掛ける場合に、デフォルト懸念というネタを使いやすくなる、という意味で、日本国債も米国債もターゲットになりうる状況になっている、というのが現状だろう。
しかし、この事実は逆に「実際にデフォルトする」という懸念が高まっているわけでもないのに、ここまで利回りが上昇しているので、今後、さらに下落のスピードが加速した瞬間に、デフォルト懸念という「ネタ」で、市場に暴落を仕掛けられたときに、その攻撃による価格下落がまだ織り込まれていない、つまり、そのとき、本当に大暴落する可能性がある、ということである。ということで、また価格下落懸念が高まり、投資を差し控えるようになり、さらに需給バランスが悪化する、という悪循環がゆっくり進んでいる、というのが現状だろう。


※ログイン後、コメント入力が可能です。