伊東:また、日本の近代化の象徴となった横須賀造船所の建設を小栗が進めたと言われていますが、小栗は勘定奉行として企画立案と予算取りをしただけで、あとは専門家に任せています。予算をつけて企画を通すだけなら、組織にいれば誰でもやる仕事ですよね。つまり自ら率先して取り組んだというより、官僚的なかかわり方をしたのだと思います。
真山:最後まで頑張ったわけではないということですよね。粘り強く頑張ったことでいえば、小栗は井伊直弼に命じられて遣米使節として渡米し、通貨の交換レートをめぐってアメリカ政府と渡り合っています。日本の金銀の価値が外国通貨との交換比率で非常に不利だったので、それを是正しようとしました。
数字や通貨に詳しく、毅然とした態度で交渉を続けたところは、ドラマでも見せ場のひとつではないでしょうか。小栗の活躍でアメリカ側の日本の使節を見る目が変わったという話もあります。日本ではあまり評判が良くなかったけれど、アメリカでは水が合ったのかもしれません。
伊東:そうですね。日本での小栗は優秀すぎるがゆえに疎まれていました。いろいろな役目を外されてはまた呼び戻されることを繰り返しますが、最後は勘定奉行でキャリアを終えています。
真山:扱いにくい人材だけれど、能力が高いから重用せざるをえなかったのでしょうね。
埋蔵金はあるのか?
真山:「鳥羽・伏見の戦い」で旧幕府軍が敗れると、徳川慶喜は江戸に戻ってきてしまいます。小栗は徹底抗戦を主張していましたが、結局、慶喜は恭順を貫くことになりました。そして小栗は斬首という不名誉な最期を遂げます。こうして見ると小栗の人生は敗北だらけのようにも思えますね。
伊東:私が特に注目するのは、幕府瓦解後、なぜ赤城山の麓の領地に戻ったのかです。主戦派だったとはいえ、江戸に残っていれば他の幕臣たちと同じく処刑されることはなかったはずです。
やはり私は、幕府再起のための軍資金を赤城山のどこかに埋めたのではないかと推測しています。江戸城の金蔵に新政府の要人が来て確認したところ空っぽで、海舟は「全部使っちまった」と言ったそうですが、海舟にその権限はありません。小栗が勘定奉行ですからね。それに加えて、「薩長はそのうち内輪揉めを始めるから、その時は主君を奉じて再起する」という小栗の書状が残っているんです。再起には当然資金が必要です。
真山:埋蔵金ですね。『偉人・敗北からの教訓』にも書かれていましたが、伊東先生のご友人にトレジャーハンターがいるとか。


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