こうしたさまざまな選択をしている中で痛感したのは、10年後、20年後のライフスタイルのシミュレーションが何より大切だということだ。
リノベはあらゆる段階でいろんな決断を迫られる。床材の素材は? 便器の仕様は? クロスの色は? そのたびに未来の自分を想像せざるえをえない。後期高齢者になったとき、毎日自炊するだろうか? 深い浴槽をまたげるか? どんな暮らしをしたいかは、どう生きたいかにつながるのだと実感した。
思い切って浴槽をなくし、シャワーだけにした浴室
それが如実に現れたのが浴室である。わが家は最上階の角部屋だからなのか、浴室の天井が傾斜しており、壁はヴィンテージマンションにありがちなタイルの従来工法。一般のリフォームのように、ユニットの入れ替えで済ますことができない。そこで、壁のタイルはそのままに、内側にユニットを組み立てるオーダー工法にせざるをえなかった。
簡単に説明すると、直角三角形の中に正方形の浴室を作るイメージだ。タイルとユニットのパネルの間の空間は約100mm。天井が斜めの部分は300m以上の空間が設けられた。この狭い空間に浴槽を作ると、屈葬のミイラのようなポーズで入浴しなければならない。リラックスできるはずの浴室なのに、逆にストレスがたまりそうだ。
そこで思い切って浴槽をなくし、シャワールームにしてしまった。理由はいくつもある。元々、シャワーだけの生活を何十年と続けてきたこと。今後、後期高齢者に向かうにつれて、老体に浴槽掃除は辛くなるだろう。シャワールームなら浴槽で溺死する危険性もゼロだ。介護が必要になったときの介護用浴槽も入れやすい。その結果、シャワールームとしてはゆったりと広くて快適な空間が誕生した。
こうして水回りのリフォームが完成したのだが、できあがってみるとあちこちに不満がでてきた。キッチンのパネルが真っ白できれいになったはいいが、部屋が妙に落ち着いてしまった。キッチンをペニンシュラ型から壁付けI型にしたせいで、腰高窓の日差しがダイレクトに注がれる。キッチンの新しいクロスとリビングの旧いクロスの差が激しすぎる、などなど。
そこで、ここから果てしない“自力リノベ”の旅がスタートしたのである。後編では、ついに“DIYの沼”にハマった筆者が「理想の部屋」を手に入れるまでの過程と、気になるその費用についてをお届けする。


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