なお、インドではアダニグループが、グジャラート州カッチ県の砂漠・塩湖地帯に、東京23区の9割弱に相当する面積の太陽光発電・風力発電設備を建設しています。完成時の設備容量は30GWで、原子力発電所約30基分に相当します。アダニグループは発電所の建設と並行して、太陽光モジュール、セル、ウエハーなどの製造能力を国内で拡充しており、中国依存度の高い太陽光発電設備のサプライチェーンをインド国内に構築するという大きな狙いもあります。
中東危機で高まるインドの地政学的価値
また、バイオガスに関する発表も話題を呼びました。2030年までに最大1000カ所のバイオガスプラントを整備し、同時に約250万台のCNG(圧縮天然ガス)車向け燃料市場を日印で共同育成するという内容です。
バイオガスプラントの主な原料は牛ふんや稲わらで、インド側で原料供給の中心的な役割を担うのが、約360万の加盟農家を持つインド最大の酪農協同組合AMULです。インドではSATAT(Sustainable Alternative Towards Affordable Transportation)政策により、石油会社が圧縮バイオガス(CBG)を長期購入する仕組みがあり、出口も確保された政策です。就業人口の4割以上が農業に関わるインドにおいて、農家所得の向上にもつながる重要な政策と言えます。
アメリカとイランの対立による中東危機によって、ホルムズ海峡というチョークポイントの重要性と、原油調達先の多角化の必要性が改めて浮き彫りになりました。インドは、中東から東アジアへとつながる重要なシーレーンであるインド洋に面し、さらにマラッカ海峡への東西の航路を監視する要所となるアンダマン・ニコバル諸島を連邦直轄領として保有しています。アメリカや日本から見ても、重要な役割を担う国となります。
そのようななか、中東の石油と同様に、基礎化学品や医薬品原料を1つの国に頼ることも大きなリスクになると言われています。例えば、中国からの輸入に依存するペニシリン系抗生物質の原料や、黒鉛など一部の炭素材は、単価自体はそれほど高くない一方で、医薬品、樹脂、繊維、自動車、電子部品など、幅広い産業のサプライチェーンを支える不可欠な素材・中間財です。


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