売り場を増やしても本数は増えない。とすれば、伸ばせるのは1本あたりの価値しかない。前編で販売終了から復活までの経緯を語ってくれた野田さんは、こう話す。
「もう二度と安売りしたくなかったんです」
蘇るのは、2007年、のっぽパンが販売終了に追い込まれたときの記憶だ。袋詰めのパンは安売りの対象になりやすく、100円を切る値段で売られることもあった。削られた利益が、最終的に200人の職場を消した。野田さんの胸には、当時の悔しさが今も残っている。
コラボ商品を発売すると売り上げが大きく伸びる。メディアで取り上げられる可能性も高い。そうすれば「一度買ってみよう」と、新たな客層にも存在を知ってもらうきっかけになる。
規格外品から始まった工場直売市
バンデロールでは、毎月第1、第3日曜日に「工場直売市」を開催している。
工場直売市が始まったのは2018年。きっかけは、工場で発生する規格外品の活用だったという。バンデロールでは、チーズケーキやアップルパイなどの洋菓子も製造している。それらは規格外品が生まれやすい。
「例えば、チーズケーキなんて、焼くときに少しぷくっと膨らむだけで規格外になってしまうんです」
規格外品になると、廃棄せざるを得ない。「おいしいのに、もったいない」と、試しに、近くの焼き立てパン店で「訳あり品」として割引価格で販売してみた。すると、よく売れたそうだ。
ちょうどその頃、工場直売やアウトレットショップが注目を集めていた。食品ロスを減らす取り組みとして「うちもやってみたい」と考え、工場直売市を始めたという。
筆者も、8月最初の日曜日に工場直売市に訪れた。開始時刻の午前9時30分より前に到着したが、工場の駐車場は満車。徒歩3〜4分ほど離れた臨時駐車場に車を停めて会場へ戻ると、すでにレジには列ができていた。
来場していた40代くらいの女性と30代くらいの男性に話を聞くと、どちらからも、「スーパーでは手に入らない惣菜系ののっぽパンが目当てできた」という答えが返ってきた。
たしかに売り場には、7月にカレーグランプリで金賞を受賞した「清水もつカレーのっぽ」や、沼津名物のあじフライと沼津の緑茶をイメージしたアボカドタルタルをサンドした「沼津あじたるサンドのっぽ」などが並んでいた。家族で来て、かごいっぱいに買っていく人もいた。


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