このとき課題となったのは、生産量の少なさだった。かつて小売店に卸していた頃は、連続生産ラインで1日3万本ほど製造していた。だが専門店での復活後は手作業に頼るしかなく、生産量はかつての10分の1以下だった。
「量は作れないので、それなら、まずは目立つ場所に置こうと思いました」
林さんが最初に狙いを定めたのは、駅の売店だ。通勤・通学客や観光客など、多くの人の目に触れる場所だと考えた。さっそく営業をかけ、2013年11月、三島駅の売店で販売が始まった。
同時に、車で移動する人たちにも着目した。ちょうど、2012年に新東名高速道路の御殿場JCT~三ヶ日JCT間が開通したばかりで、話題を集めていた時期だった。サービスエリアにも営業をかけたところ、駿河湾沼津サービスエリアと東名高速道路の富士川サービスエリアで取り扱いが決まった。
さらに2014年1月から、地域の人が日常的に買い物をするスーパー「マックスバリュ」でも販売が始まった。しかし、「それでもうお腹いっぱいでした」と林さん。手作業では、それ以上の生産に対応できなかった。
殺到する問い合わせ。手作業も限界に
卸売始後の反響は予想以上だった。こちらから営業をかけなくても、「のっぽパンを置きたい」という問い合わせが後を絶たなかった。けれど、数が間に合わない。
当時は、クリームを絞るのも、袋の口をビニタイで留めるのも手作業で行っていた。社内では「腱鞘炎になる」「腕がパンパンになる」と悲鳴が上がるほどだったという。そこで、まずは袋詰めの機械を導入し、数年後にクリームを絞る機械も取り入れた。
今でも、つぶつぶの具が入ったクリームなどは手で絞っているが、生産量は少しずつ増えていった。
それでも、生産量に限りがあることは変わらなかった。本数を増やせないなら、1本あたりの価値を上げるしかない。そこで林さんが次に手をつけたのが、「静岡らしさ」を売りにしたコラボ商品だ。


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