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静岡のソウルフード《のっぽパン》突然の生産終了、ファンは「やめないで」の横断幕で…人気パンが9カ月で復活した舞台裏

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のっぽパン
定番から個性派まで、さまざまな味がそろう「のっぽパン」(写真:筆者撮影)
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多くの人に愛されていた、のっぽパン。だが2007年、突如として生産が打ち切られた。生産終了直前も、1日3万本ほどが売れる人気商品だったため、ネット上には動揺の声があふれる。理由は、経営の悪化だった。

エヌビーエス(旧・ヌマヅベーカリー)は、菓子パンや食パンなど、袋詰めのパンを幅広く手がけていた。袋詰めのパンは安売りの対象になりやすく、大手メーカーとの価格競争に巻き込まれることも多かったという。のっぽパンは当時120〜130円だったが、100円を切る値段で売られることもあり、利益はじわじわと削られていった。

のっぽパンの生産中止は、「パンの小売事業からの撤退」と報道されたが、実質は大規模な業務縮小で、そこで働く200人ほどの社員にとっては、事実上の廃業に等しかった。

一方、子会社のバンデロールは焼き立てパンの店舗を運営しており、業績は堅調だったという。野田さんは、のっぽパンが生産を終了する数年前からバンデロールに出向していたため、そのまま会社に残った。他にも10名ほどが転籍したそうだ。のちに、この子会社が、のっぽパンを復活させることになる。

ファン20名が集まった、最後の出荷日

のっぽパンの最後の出荷日、会社の外ではファンによる「さよならのっぽパン」というイベントが自主的に開催された。出向していた野田さんは、元同僚からの涙ながらの報告で、イベントのことを知ったという。集まったファンは20人ほどだ。

そのとき、社内にいた人物がいる。当時、システム部門を担当していた冨田正昭さんだ。コンピューター室の窓から外の人だかりが見えた。目に入ったのは、「やめないで」と書かれた横断幕やプラカードを掲げたファンの姿だった。

「のっぽパンが好きでヌマヅベーカリーに入社した」という冨田さん。その光景に、「愛されているパンなんだ」と感じるところもあった。だが、明日から自身の仕事はなくなる。冨田さんの子どもは、まだ幼稚園に通う年齢だった。会社に残るか、別の道を選ぶか。決断を迫られる中で、ファンの熱意を受け止める余裕はなかったそうだ。「やめないで」と訴える集団は、まるでデモ行進のように見えたという。

「自分のことで精一杯でした」

結局、冨田さんはバンデロールへの転籍を選んだ。

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