では、実際に道頓堀を歩いて、街の現状を観察してみよう。
大阪松竹座から少し東に歩けば戎橋筋商店街。道頓堀に架かっているのが戎橋だ。かつてのナンパ男子の姿はなく、代わりに増えたのが、橋の上でグリコの広告看板を背にして、両手と片足を上げる観光客のポーズである。
派手なオブジェ看板の走りである「かに道楽」の向かい、TSUTAYAとマツモトキヨシのビルの隙間に、石碑と説明板がひっそりと設けられている。ここは1684年に竹本義太夫が開いた人形浄瑠璃の「竹本座」であり、のちに「浪花座」となった場所の跡地だ(2002年閉館)。
名物だった「くいだおれ太郎」の現在
そこから少し歩くと、喜劇王・藤山寛美を擁した松竹新喜劇の本拠地「中座」の跡地に行き着く。現在は飲食店やドラッグストアが入る複合施設「中座くいだおれビル」に変わった。
2008年に惜しまれつつ閉店した食堂ビル「くいだおれ」の看板人形「くいだおれ太郎」は、2009年からこのビルに移設。すっかりインバウンド向けの撮影スポットとして生き残っている。
周辺の店舗も、射的やたこ焼き、焼き肉店が大半を占め、ドラッグストアも目につく。さらに進めば「角座」の跡地も2021年からはホテルが入居するビルに変わっている。
かつて文化を発信した劇場跡地の多くが、わかりやすい消費空間へと姿を変えているのだ。


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