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ビジネス #バイオマス発電の現実 持続可能と言えるのか

ベトナムの木質ペレット工場が粉塵を巻き上げる─日本のエネルギー消費者が知るべきバイオマス発電用燃料をめぐる公害の深刻さ

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クアンガイ省にある木質ペレット大手ACEの工場。2026年5月初旬撮影(提供:地元住民)
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日本と韓国がバイオマス燃料への補助金を縮小する中でも、輸入ペレットの需要がすぐに減少する可能性は低い。というのも、既存の発電所や建設中の発電所は、引き続き長期の補助金の対象となるためだ。

「韓国にあるバイオマス専用発電所のほとんどは建設からわずか5年から8年しか経っていないため、40年代に入っても多額の補助金を受け取り続けるだろう」と、Solutions for Our Climateの森林・土地利用責任者であるソン・ハンセ氏は述べた。

同様の傾向は日本でも見られ、福島原発事故後のエネルギー政策がバイオマスブームを後押しした。多くの大規模発電所は、ごく最近操業を開始したばかりか、まだ建設中である。

「こうした発電所が発電を開始すると、20年間補助金を受け取ることができる」と、日本の環境NGOである地球・人間環境フォーラムの鈴嶋克太氏は述べた。「つまり、日本が燃焼させる必要のあるバイオマスの総量は依然として増加しているということだ」。

持続的な需要により、ベトナムのペレット産業は記録的な水準に達した。25年1~11月までの輸出額は10億8000万米ドルに達し、前年同期比で52%増加した。


工場周辺住民の終わりのない闘い

クアンガイ省では、住民たちはACE社のペレット工場の操業停止が永続的な変化をもたらすかどうか、いまだに見守っている。

「私たちの声は部分的にしか届いていない」と、工場近くに住む40歳の村人は匿名を条件に語った。近隣ではすでに別の大型工場が建設中だ。「これからどうなるか見守るしかない」。

クアンガイ省から約150キロメートルほど離れたビンディン省の住民たちは、この粉塵がいつ消えるのか見当もつかないでいる。

3年以上前、彼らはアヨ・バイオマス社のティンニャン工場前で1週間にわたる抗議活動を行い、木材運搬トラックの進入を阻止するため、工場の門前で寝泊まりした。抗議活動は最終的に終結したが、それは彼らの懸念が解決されたからではなく、継続することが不可能になったためだった。

「私たちが去った後、工場はほとんど変更なく操業を再開しました」とヌンさんは振り返る。「私たちは働かなければ、また抗議活動ができなくなる。本当に疲れるけれど働かなければならないのです」

ビンディン省のティンニャン木質ペレット工場の隣のトウモロコシ畑を歩くトウモロコシ農家のティ・ニエンさん。彼女は、工場から出る粉塵が定期的にトウモロコシの苗に付着すると訴えている(2026年3月27日)(写真:タイン・フエ)


今年3月、アヨ・バイオマス社の担当者が地元の住民宅を訪れた。同社の担当者は3カ月ごとに環境モニタリングを実施しており、その結果は法律で義務づけられている通り、省当局に提出していると述べた。

「すべての指標は安全基準値内に収まっています」と担当者は言った。「粉塵や騒音の低減に努めてきましたが、ペレット加工ではどうしても発生してしまうものです。これは当社に限ったことではありません」(同担当者)。

彼は、監視報告書のコピーの提供や、測定を実施した請負業者の特定を求める要請を拒否した。

工場の機械が轟音を立てて稼働する中、ヌンさんは玄関先のほこりを掃き清めた。

「彼らがますます裕福になる一方で、ここで病気になったり、その代償を払わされたりするのは私たちだということは、一目瞭然でしょう」と彼女は付け加えた。

今のところ、木材を積んだトラックは到着し続けている。そして、非難の声も絶えない。

 


本記事は、メコン地域の環境問題を取り上げるメディア「Mekong Eye」からの転載です(東洋経済オンライン編集部で日本の読者向けに編集しました)。本記事はアース・ジャーナリズム・ネットワークおよびピューリッツァー・センターによる支援を受け、「Following the Fumes」と題する国境を越えた共同プロジェクトの一環として制作されました。本記事は、「Mekong Eye」および、韓国を拠点とする調査報道ネットワーク「DUNIA」との共同掲載記事です。


※東洋経済オンラインでは、記事中に登場する日本の大手商社に質問文を送付し、回答を求めた。以下はその内容である。

■阪和興業への質問および同社による回答

Q1 現地ジャーナリストによれば、Ayo Biomassの子会社であるTin Nhan Co.Ltdの木質ペレット工場の周辺では大気汚染がひどく、住民は粉塵による生活上の支障や大気汚染物質による健康被害に悩まされているとのことです。貴社では本件木質ペレットの調達に際してこのような苦情や被害の実態について調査・把握をしておられますか。事実関係について教えてください。

Q2 把握しておられる場合には、その内容および対応状況について教えてください。

A ご指摘の事案について、弊社はAyo Biomass社の子会社であるTin Nhan社の工場周辺において、粉塵に関する懸念が過去に生じていたことを認識しております。なお、同社との取引は限定的なスポット取引にとどまっており、当社の主要な調達先ではございません。

弊社は木質ペレットのサプライヤーに対して年度に1回のデューデリジェンスを実施しており、同社に対しては直近では25年12月に実施しております。

その中で、Tin Nhan社が19年に周辺住民の方から粉塵に関する指摘を受け、これを踏まえて集塵設備を強化し対応した経緯を確認しております。また、本年6月に海外メディアより同様のご指摘をいただいた際、当社は改めてTin Nhan社に事実関係の確認を行いました。

さらに今回のご質問を受けまして再度確認を行いましたが、いずれにおいても19年の設備対応以降、周辺住民から新たな苦情があったとの情報は、Ayo Biomass社から当社には報告されておりません。また、健康被害についても、現時点で当社に報告されている情報はございませんでした。

弊社は現地訪問の際、サプライヤーの原料調達先である製材所や植林地にも足を運び、関係者への聞き取りを通じて、当該サプライヤーに関する苦情や懸念の情報がないかを確認しておりますが、これまでの現地での聞き取りにおいて、そうした情報は把握されておりません。ただし、弊社の確認が及ぶ範囲に限りがあることは認識しております。ご指摘は真摯に受け止め、引き続き確認を継続してまいります。

その結果、当社の方針に照らして問題があると判断される場合には、サプライヤーに対する改善の要請を行い、改善が見込めない場合には取引の継続の可否を含めて検討いたします。

■住友商事への質問および同社による回答

Q1 現地ジャーナリストによれば、Ayo Biomassの子会社であるTin Nhan Co.Ltdの木質ペレット工場の周辺では大気汚染がひどく、住民は粉塵による生活上の支障や大気汚染物質による健康被害に悩まされているとのことです。貴社では本件木質ペレットの調達に際してこのような苦情や被害の実態について調査・把握をしておられますか。事実関係について教えてください。

A1 25年に当社は同社とのスポット取引を行いましたが、その時点において、今回の報道で指摘されている周辺住民からの粉塵等に関する苦情や環境影響について認識しておりませんでした。なお、同社との取引については、商務条件や当社の調達ポートフォリオ等の観点から総合的に判断した結果、現在は継続しておりません。

Q2 把握しておられる場合には、その内容および対応状況について教えてください。

A2 上記回答のとおりです。

■三井物産への質問および同社による回答

Q1 現地ジャーナリストによれば、ACE社の木質ペレット工場の周辺では大気汚染がひどく、住民は粉塵による生活上の支障や大気汚染物質による健康被害に悩まされているとのことです。貴社では本件木質ペレットの調達に際してこのような苦情や被害の指摘について調査・把握をしておられますか。事実関係について教えてください。

Q2 把握しておられる場合にはその内容および対応状況について教えてください。

A 弊社は、ACE社(以下、ACE)から、ベトナム国クアンガイ省農業環境局(以下、当局)がACE宛に発出した通知の共有を受けています。

同通知によれば、ACEの木質ペレット工場について、当局が環境保護規制に係る現地検査を実施し、ACEが行政指導・処分を受け、課徴金の納付および排ガス処理設備に関する是正措置(乾燥工程の最適化、粉塵処理設備の増設、煙突の延長等)を実施し、さらに、これらの是正措置の完了後に当局が行った現地検査および排ガス分析の結果に基づき、ACEの是正措置は現行の環境規制を充足したと結論付けています。同通知は本年7月初旬に発行されました。ACEは是正措置の完了以降に近隣住民への説明会を開催し、その後当局からの追加指摘や、住民からのクレームは受けていないと弊社は聞いています。

弊社は、定例モニタリングを実施し、環境問題全般を確認しております。引き続き対話を継続していきます。

■伊藤忠商事への質問および同社による回答

Q1 現地ジャーナリストによれば、ACE社の木質ペレット工場の周辺では大気汚染がひどく、住民は粉塵による生活上の支障や大気汚染物質による健康被害に悩まされているとのことです。貴社では本件木質ペレットの調達に際して、このような苦情や被害の指摘およびその実態について調査・把握をしておられますか。事実関係について教えてください。

A1 最近報道のあった問題の工場は、同社のDung Quat工場と推察しますが、当該工場は先月、是正処置が完了して現地当局から操業再開の許可を取得済みと聞いております。ただし、当社は今年、当該工場からの調達を行っておらず、また、現時点で今後の引き取りは決定しておりません。

Q2 把握しておられる場合にはその内容および対応状況について教えてください。

A2 上記Q1への回答をご参照ください。

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