新刊『RETIRE SHIFT(リタイア・シフト) 人生100年時代の引退戦略』が話題となっているリタイアメント・アドバイザーの山崎俊輔氏が、最も賢い年金受給の方法を解説します。
年金業界で話題の「WPP理論」とは
近年、年金業界ではWPPというキーワードが話題となっている。
これは谷内陽一氏(名古屋経済大学経済学部教授。厚生労働省社会保障審議会企業年金・個人年金部会委員)が2018年の日本年金学会総会で提唱したものだ。
今まで私的年金(企業年金や個人年金)の果たす役割は、公的年金の金額に「上乗せ」し、カバーすることだと考えられていた。実際、企業年金の法律にはそうした表現がある。
民間の私的年金制度も、終身保険を目指すことを理想として考えられていた。もらい始めから死ぬまでの間、常に同じ金額がもらえることで、公的年金の金額に上乗せされるイメージである。
「公的年金+私的年金」の合計で老後を一生豊かにするというデザインが想定されていたわけだ。
これに対して、私的年金と公的年金の組み合わせ方には「上乗せ」だけでなく「継投策」がありうると考えたのが谷内氏だ。
彼は熱心な野球ファンとして年金業界では有名だが、阪神タイガースの継投策(当時JFKと呼ばれていた勝利の方程式)を見ていて思いついたらしい。
「私的年金だけで暮らす数年間」を作って、公的年金の受け取り開始時期を65歳以降に繰り下げる。これにより増額された公的年金収入を一生確保する。上乗せではなく継投なので、老後の後半は「公的年金だけで暮らす老後」となっていい。
継投策は「私的年金」と「公的年金」だけで考えるわけではない。もうひとつ、継投策のカギとなるのは「長く働く」ことだ。長く働いて、公的年金を増額するアプローチも考えられる。



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