ユニクロダウン大捜索
翌朝は6時半にはキャンプサイトを離れた。名残惜しかったが、ラクダの上でサハラ砂漠の夜明けを体感するのもツアーの売りらしい。前日の体験から「近くにいる者同士でラクダの隊列を組まされる」と学んでいたので、ティナのそばにぴったりとつき、狙い通り同じ隊列で帰途についた。
ラクダは立ち上がるときと座り込むときだけはぐわっと勢いをつけるので、手綱をしっかり握っておく必要があるが、従順でとても乗りやすかった。人懐っこすぎて着ていた服をかじられてしまったものの、バサバサのまつげの下のくりくりお目目で見つめられると怒る気も失せる。
6時半ごろから空が白み始め、砂漠から昇る朝日を味わいながら出発地点に戻った。
砂漠ツアーはここで一区切り。各ツアーは解体され、マラケシュ、フェズと帰る場所ごとに車に乗せられる。しかし私はまだやることが残っていた。ユニクロのダウンコートが手元に戻っていないのだ。
近くにいたスタッフに聞いたら、「今は人が多いから、座って待ってて」とWi-Fiのパスワードを渡された。時間をつぶせということか。
30分経ち、気づけばそこにいるツアー参加者は私だけになっていた。「皆待っているから早く車に乗ってくれ」と急かすドライバーに翻訳アプリを使って事情を説明する。次の目的地のトルコの寒さを思えば、ここで諦めるわけにはいかない。
困ったドライバーはツアー会社に電話して、何やら話して私にスマホを渡した。ツアー会社の社長が「ジャケットは私たちで探すから、車に乗って」と言うので、仕方なく車に向かった。
自分のことに気を取られて気づいていなかったが、5人乗りの乗用車の中では3人が30分以上待っていた。
「ユニクロだしな……また買えるし」と自分に言い聞かせながらも腹が立って、ツアー会社のWhatsAppに経緯と不満を入力する。


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