すると3時間後、WhatsAppに見覚えのあるダウンの画像が送られてきた。
「これか?」
それ! それだ! あれだけ聞いて回っても見つからなかったのに。
「キャンプサイトのテーブルの上に置かれていた」
どうやら他の荷物と一緒にキャンプサイトに運ばれたものの、そのまま放置されており、ツアー会社が確認したところ、あっさり見つかったそうだ。
ドライバーを待たせてダウンがないと騒いでいたとき、何でみんな真面目に探してくれなかったのだろう。
諦めかけていた物が出てきたうれしさと、モロッコ人たちの適当さに対するモヤモヤが同時に湧き上がる。それにしても砂漠の町とフェズは450キロ以上離れている。見つかったところで受け取れるのか。
チップより★5のレビューが欲しい
私がフェズに着いた翌日、WhatsAppに知らないアカウントからダウンコートの画像とホテルの名前が送られてきた。
そこを訪ねると、中年の男性がテーブルの上にコートを置いてくつろいでいた。彼はWhatsAppでやり取りしていた旅行会社の社長の弟だと名乗った。血縁上の弟なのか、「兄弟!ブラザー!」と呼び合う関係と言いたいのか分からないが、兄弟の連携プレーによって私のダウンが奇跡的に戻ってきた。心の底から感動した。
100ディルハムのチップを渡しても惜しくないと思い、財布から札を取り出すと、彼は「チップはいらない! それより、兄貴のためにトリップアドバイザーに星5のレビューを書いてくれ!」とQRコードが印刷された紙切れを差し出した。
海外の外国語ツアーに一人で参加する。それはサバイバルであり、ある種のガチャでもある。
モヤモヤしたり、居心地の悪さを感じたりすることもある。かと思えば、それをすべて払拭して、すばらしい思い出に変えてくれる人が現れる。
一人旅は気楽でフレキシブルだけど、ツアーに参加すると、一人では届かない場所や人と出会えることもよく分かった。


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