ここで1つ疑問がある。運営が主催するイベントは、つまり婚外恋愛をしている人たちの集まりだ。本来なら見つからないように、コソコソするものではないのか。
「おひとりでのご参加が多いのですが、同じサイトの利用者という仲間意識があるのか、『同志会』のような雰囲気で和気藹々(あいあい)と過ごされています。普段からグループチャットで仲良くされている方同士もいて、『やっと会えたね』とか『久しぶり』などの言葉も聞こえてきます。
これは想定外の副産物だったのですが、女性同士、男性同士ですごく仲良くなるんです。サイトの特性上、男女のマッチングは行われますが、同性はマッチングできません。それがリアルの場で出会い、仲良くなって一緒にビジネスを始められた例もあります。また、Healmateで働きたいと言ってくださる方が本当に多いんです。
境遇が似ていて、同じHealmateを利用している、ある意味同じ秘密を共有している仲間。お互い生活での接点もないからこそ気兼ねなく本音を話せるのがメリットなんだと思います」(磯野さん)
離婚を望む人は少数派?
立ち上げ当初に感じていた既婚女性の孤独を解消する場を作りたいーー。それが婚外恋愛という心の拠り所と、その副産物として同性の同志という形の2軸から実現させようとしている。
「ただ、想定外だったことがもう1つあるんです。
夫婦仲が悪いということは、みんな機会があれば離婚して第二の人生を歩みたいものだと思っていました。私がそうだったように。だから、プロフィール欄には、相手に求める関係性として『再婚や第二の人生も見据えた真面目な出会い』は絶対に外せない項目でした。
しかし蓋を開けてみると、求めている人は少数派。男性に至ってはほぼいない(苦笑)。多くの人が不満はあっても、離婚までは考えていないことは衝撃でした」(磯野さん)
それでも、「サイト内でミスマッチが起こるのは、お互い不幸なこと。再婚相手を探したい人と、離婚までは考えていない人。それぞれの希望を叶えるためにも希望の関係性の項目フィルターは必要」(磯野さん)という思いから、初心は揺らがない。
既婚者マッチングアプリというジャンルが万人受けするかどうかというと、イエスとは言い難いだろう。しかし、離婚件数が減少傾向にあっても、熟年離婚が増加している日本において、別の選択肢を提示できるのであれば、「私たちがやっていることは、必要悪だと思う」と磯野さんは言う。
子育て中の孤独、仕事と家庭の両立、さまざまな視点から日本の既婚女性が置かれている現状が語られるが、必要だった救いの手が思わぬ形で現れたのかもしれない。



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