今回、政治神経科学のパイオニアが、「認知的硬直性」が「イデオロギー的硬直性」に結びつくことを明らかにし、ストレスや欠乏、社会的排斥が人々を過激主義へと押しやることを指摘した、分断の時代の必読書『イデオロギーに飲まれる脳:硬直的思考の脳科学』より、一部抜粋・編集のうえ、お届けする。
実験で見られた興味深い現象
1960年代、J・リチャード・サイモンという心理学者が、実験で被験者に知覚的意思決定をするよう求めると、興味深い現象が起こることに気がついた。
たとえば、スクリーン上に赤い円が見えたら右側にあるボタンを押すように指示すると、その赤い円がスクリーン上に表示される位置が結果に影響するのだ。
赤い円がスクリーンの右側に表示される場合、右側のボタンを押すスピードは、赤い円がスクリーンの左側に表示される場合よりも速い。同じように、左側のボタンを押すことを促す刺激を与える場合には、スクリーンの左側に表示されるほうが、反応がより速く、より正確になる。
視野内で刺激が表示される位置と、身体の反応の向き(ボタンのある位置)が一致している場合には、一致していない場合よりも脳の反応が速くなるのだ。
これは誰にでも当てはまる。この「サイモン効果」が起こるのは、私たちの注意メカニズムは反応の方向に偏る傾向があるからだ。ボールが左から来るのに気づいたのに、それを取ろうとして右に動くのはおかしい。



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