そうした微小なタイムスケールに注目することで、あまりに高速で、あまりに無意識なので、個人ではコントロールできないプロセスをうまく利用しようとしたのである。
認知科学者がこうした知覚的意思決定のタスクの結果を分析すると、2種類の興味深いデータが見つかる。それは反応時間と精度だ。
ここから私たちは、誰が素早くタスクを実施していて、誰が正確にタスクを実施しているかがわかる。しかし、計算論モデリングを用いれば、こうしたデータからさらに意味のある心理的変数を得られる。
計算論モデリングというのは、秒単位で実施する試行のたびに参加者の行動を記録し、被験者が刺激を提示された瞬間(時間0)とボタンを押した瞬間(私の場合は650ミリ秒)の間に起こっている心理的プロセスを推定するアプローチだ。
この650ミリ秒の間に何が起こっているのだろうか? 計算論モデリングによって、ある特定のタスクにおける個人の「証拠蓄積の速度」を割り出すことができる。これは、ある人がそのタスクで提示された証拠を統合して、正しい判断につなげるときの速さと効率を示すものだ。
ノイズが多く非線形的な証拠蓄積のプロセス
知覚的証拠を素早く、巧みに蓄積する人がいる一方で、知覚的証拠を判断に落とし込むのに苦労する人もいる。
認知科学者は、この証拠蓄積のプロセスはノイズが多く、非線形的だと考えている。つまり、脳は適切な判断をすぐに狙うわけではなく、ある動作をすると決める前に、何度か考えを変えるということだ。
それは確率論的なプロセスだと言える。数ミリ秒ごとに、確実性が高まる瞬間があるかと思うと、その後にためらいや、注意のランダムな断絶が起こる。
このプロセスを、頂上(正しい判断)を目指す山登りだと考えるなら、その坂道はでこぼこで歩きにくいだろう。岩が転がり落ちてきて、私たちは坂を滑り落ちてしまい、頂上に登る代わりにうっかり下まで下りてしまうだろう。


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