かつて有力視されたのが、アルコールの代謝過程で生じるアセトアルデヒドだ。これが二日酔いの「原因物質」だと聞いたことがある人も多いだろう。
口から摂取されたアルコールは胃から約20%、小腸から約80%が吸収され、血液に入ってごく短時間で全身に染み渡る。アルコールの血中濃度が高くなると生じるのが「酔い」だ。
こうして吸収されたアルコールは、肝臓でアセトアルデヒドを経て酢酸(アセテート)に分解される。アセトアルデヒドは毒性が強く、十分に分解されずに体内に残ると吐き気や頭痛などの症状を引き起こすとされてきた。
しかし、体内のアセトアルデヒドの濃度は飲酒直後に最も高くなり、飲酒終了から7~8時間後にはかなり低下している。
「濃度が大きく低下している翌朝に二日酔いの症状が強く表れている。アセトアルデヒドが二日酔いの原因とは言えません」
脱水を防いでも、二日酔いの症状は緩和されなかった
もう一つ、二日酔いの原因とされてきたのが脱水だ。
アルコールには利尿作用があり、飲酒によって体内の水分が失われる。その結果、血液量の減少や電解質の乱れなどを通じて、頭痛や倦怠感につながると考えられてきた。「飲酒中に水を飲めば脱水を防ぎ、翌朝の二日酔いを軽くできる」と広く信じられているのはそのためだ。
しかし今回、チェイサーありの条件では、被験者は体重1キロあたり15ミリリットル、70キロなら1リットル超の水を飲んだ。体内に吸収された水分量は測っていないが、一定の脱水補正効果は見込める量だという。それでも症状は緩和されなかった。
「仮に脱水が二日酔いの主要因なら、症状が緩和される結果が出るはずですが、そうではありませんでした。はっきりした答えを言えず申し訳ないのですが、二日酔いの原因は『謎』なんです」

