研究を手がけたのは、大分大学医学部の今井浩光教授らのグループだ。飲酒はさまざまな健康被害を引き起こす一方、長い歴史を持つ文化でもある。今井教授らは、適切な飲酒のあり方を考えるため、科学的根拠を積み重ねたいと考えている。
「二日酔いは、単なる不快感にとどまらず、車の運転や日中の仕事にも影響を及ぼす問題です」(今井教授、以下同)
そこで今井教授らは、広く信じられている二日酔い対策に本当に効果があるのかを調べた。
実験の対象は、ALDH2(アルコールが代謝される過程で生じるアセトアルデヒドを分解する酵素)が正常に働く健康な日本人成人男性13人。事前の食事、アルコール摂取量や摂取時間、飲酒後の睡眠時間などの条件を厳密にそろえた。
被験者は1週間程度の期間を開けてチェイサーありとなしの両方の条件で測定を受け、その順番は無作為に決められた。チェイサーの有無だけを入れ替えた結果を比較したという。
その結果、呼気中のエタノール濃度やアセトアルデヒド濃度の推移、翌朝の吐き気や頭痛といった自覚症状などに、チェイサーの有無による差は見られなかった。今井教授はこう結論付ける。
「飲酒量が同じなら、チェイサーで二日酔いは軽減されません」
二日酔いの原因はいまだ「謎」
そもそも二日酔いはなぜ起きるのか。酒とともに歩んできた人類が、幾星霜もの間向き合ってきた問いの一つだ。
古代エジプト・新王国時代の紀元前1250年ごろのものとされる出勤記録にも、飲酒にまつわる欠勤理由が残されている。世界各地で対策の試行錯誤が重ねられてきたにもかかわらず、二日酔いの原因はいまだ解明されていない。

