「次の会議までに、新しい企画のたたき台を作っておいて」
ビジネスの現場で日常的に飛び交う「たたき台」を、本当の意味で使いこなせている人はどのくらいいるでしょうか。上司から「たたき台を作ってね」と頼まれてから、いざパソコンの前に座ると何から手をつければいいかわからず、とりあえずネットで事例を検索したり、思いつきのアイデアをスライドに並べたりして、いたずらに時間を消費してしまうビジネスパーソンは少なくないはずです。
そしてよくわからないまま「たたき台」を提出した結果、上司から「考えが浅い」「もっと根本から掘り下げて」と突き返され、「たたき台なんだから、粗くて当たり前じゃないか」とモヤモヤした感情を抱えてしまう。
なぜあなたのたたき台は「考えが浅い」と一蹴されてしまうのか。その決定的な理由は、あなたの発想力やセンスの欠如ではなく、「仕事の構造」を理解していないことにあります。
「浅い」と言われる人の致命的な勘違い
私は、いまでこそ経営コンサルティングを生業とし、数々の企業を支援していますが、若手時代を振り返ると、苦い経験がいくつもあります。
『たたき台の教科書』という書籍にも少し書きましたが、気ばかり焦って空回りしていた若い頃の話です。やる気に満ちあふれた私は、仕事を振られるや、どうすればいいかを「調べたり」「考えたり」していました。情報は得られるし、いくつかのアイデアは出てくるものの、「こうすればいいんだ!」という答えは見つかりません。
30分ほど経った頃でしょうか、サポート役の先輩が「ちょっと考えてみたんだけど、こんな感じで進めればいいんじゃないかな?」と、ほぼ完成イメージが出来上がった手書きのメモをあっさりと持ってきたのでした。今振り返ってみれば、先輩が持ってきたメモは、まさに「良いたたき台」でした。
先輩のメモを前に「なぜ、こんなに早くできるんだ? 自分は全然ダメだな……」と強いショックを受けたことを今でも鮮明に覚えています。
そこから、日系、外資、大手、ベンチャーと様々な職場で揉まれ、試行錯誤を繰り返して、『たたき台の教科書』を出版するようになるほど「たたき台」を極めることになるのですが、私自身が「これは会心のたたき台だ!」と強烈な手応えを感じ、仕事の進め方の「真髄」をつかんだタイミングがあります。
それが、30代半ばで携わった、ある外資系企業でのプロジェクトでの出来事です。



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