そのプロジェクトは、過去に様々な取り組みがなされてきたものの、ことごとく失敗に終わってきた、非常に重たく難易度の高いものでした。
通常であれば「どうやってこの難局を打開するか(=打ち手)」のアイデア出しに飛びつきたくなるところです。しかし、この時の私は、通常の業務ではあり得ないほどの膨大な時間とリソースを割いて、「今、現場では何が起きているのか」「なぜ今までうまくいかなかったのか」という「現状把握」を泥臭く徹底的に深掘りしました。「大きな変革のためには、徹底的な現状分析が必要」というコンサルティングの現場での学びを実践したのです。
その圧倒的な「事実(現状)」の積み上げと、ビジョンを描くのが得意な当時の上司による「あるべき姿(期待する成果)」が組み合わさることで、プロジェクトの全体像が決まっていきました。そして、「打つべき手はこれしかない」という結論が、私一人ではなくプロジェクトチーム全員の総意として、確固たるロジックとともに自然と浮かび上がってきたのでした。
最恐の「外資系役員」との修羅場プレゼン
そして迎えた、「めちゃくちゃ厳しくて怖い」と恐れられていた本社役員へのプレゼン本番。緊張感の漂うミーティングでしたが、いざプレゼンが始まると、信じられない現象が起きました。
なんと、その厳しい役員との議論が、100%完璧に噛み合ったのです。
役員が「ここはどうなっている?」「なぜ、別の案ではなく、この方法なんだ?」と鋭く突っ込んできても、「そこはこうなっている(事実)ので、こう捉えている(解釈)」「現状がこうなっているので、あるべき姿を目指そうと思うと、こういう方法(打ち手)になる」と、冷静に返すことができました。
気づけば、厳しいと定評のある役員から、そのプロジェクトを後押しするというコメントをもらえて、驚くほどすんなりとミーティングを終えることができました。
「あの厳しい本社役員が、こんなにすんなり理解して、プロジェクトを後押ししてくれるなんて、すごくないか!?」
ミーティングが終わった瞬間、チーム全員で凄まじい手応えを感じました。
もちろん、そのときに用意したものは「たたき台」ではなく、入念に準備を重ねた内容でした。ですが、「徹底した『現状把握』と『期待する成果』を固めてしまえば、取るべき打ち手は自然と浮かび上がる。その筋がしっかり通っていれば、どんなに厳しい相手であっても、建設的な議論ができ、合意形成ができるんだ」。
これが、私が「仕事の進め方」の本質を完全に理解したブレイクスルーの瞬間でした。


※ログイン後、コメント入力が可能です。