原油危機による石油化学製品不足が声高に語られる中、政治リスク回避と環境対策を同時に進めている企業がある。プラスチック製梱包材を「循環する資源」へと近づけている川上産業は、原料をどう確保し、国内の複数拠点で生産・リサイクルを回す体制をどう築いてきたのか。その具体的な仕組みと取り組みを探った。
政治リスクの影響を受けない「プチプチ」
原油を起点とする石油化学製品は、いまや典型的な「政治リスク商品」である。ロシア情勢や中東の不安定化、資源ナショナリズムの台頭などを受け、ナフサ(粗製ガソリン)価格は国際情勢に振り回される。石油化学メーカーは原料高騰や供給制約にさらされ、日本の製造業も価格転嫁とコスト削減の板挟みにある。
この連鎖の中で、本来なら真っ先に打撃を受けそうな存在がプラスチック製の梱包材だ。だが「プチプチ」で知られる気泡緩衝材の専業メーカー川上産業は、この石油ショック的な世界から距離を取りつつある稀有な企業だ。1968年創業、気泡緩衝材の国産化に成功した同社は、国内シェア約6割を握る業界の最大手である。
お菓子の缶を開ければ敷かれている透明のシート、オンラインショッピングで商品を注文すれば、ほとんど必ずといっていいほど巻き付けられているあの梱包材。正式な一般名称は「気泡緩衝材」だが、日本では広く「プチプチ」として知られており、その名前を知らない人を探すほうが難しい。指でつぶすと鳴る軽い音や、ストレス解消グッズとしての側面まで含めて、この製品は生活文化の一部になっている。実は「プチプチ」は川上産業が1994年に商標登録した名称だが、今ではほぼ一般名詞のように浸透している。


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