第二に、顧客側のサステナビリティ要求である。大手EC、メーカー、小売りは今や、温室効果ガス排出の削減や、使い捨て資材を減らす「循環型の調達目標」を次々と掲げている。そうした企業にとって、梱包材は環境配慮を示しやすい見える象徴だ。リサイクル素材を使った緩衝材を選ぶこと自体が、物流・小売企業の環境対応やCSR(企業の社会的責任)の一部として位置づけられつつある。川上産業にとってリサイクルは、こうした顧客企業の環境・ESG(環境・社会・ガバナンス)戦略の中に自社製品を位置づけてもらうための重要な条件になる。
第三に、ブランド戦略だ。「プチプチ」はもはや単なる梱包材の名称ではなく、遊び心や心地よさを含んだ生活文化ブランドになっている。そこに「環境への配慮」と「循環」の文脈を接ぎ木することができれば、価格競争に陥りがちな資材ビジネスから一段抜け出し、プチプチそのものが選ばれる素材になりうる。その象徴的な動きが、2026年10月1日付で社名を川上産業から「プチプチ株式会社(Putiputi Co., Ltd)」へ変更する決定だ。企業名そのものを商品ブランドに合わせることで、「プチプチ=サステナブルな緩衝材」というイメージを一層強化しようとしている。
リサイクルは、環境対応であると同時に、原料リスクを抑え、顧客のESGニーズを取り込み、ブランド価値を高めるための「経営戦略」になっているのである。
ループリサイクルが生む環境優位性
では、実際にプチプチはどのように循環しているのか。川上産業の工場では、自治体や企業などから回収された使用済みプラスチックを再生原料メーカーや自社で分別・処理し、ポリエチレン資材を自社工場で粉砕して、ペレット状の再生ポリエチレンへと加工している。この再生ペレットをバージン材とブレンドし、あるいは製品によっては再生材100%レベルで使用することで、新たなプチプチが生まれる。この「回収→分別→再ペレット化→再成形」というループを、同社は「ループリサイクル」と呼び、物流企業、EC事業者、量販店などとの協業によって、その仕組みの拡大を図っている。
またリサイクルはプチプチにとどまらない。ポリプロピレンを原料とし、プチプチと同じ中空構造を持つ樹脂ボード「プラパール」や、プラスチック段ボールの「エコリアルボード」でも再生素材の積極活用が進む。特に後者は原料・添加剤を除けばリサイクル原料率は100%に達している。オフィスや工場の什器・通い箱などに使われるこれらの素材も回収→再資源化をパッケージで提案できれば、「循環スキーム」として売り込むことができる。


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