東日本大震災後の福島県相馬市では、被災の影響が健診データにも明確に表れた。
筆者らの研究チームが2013年に『BMC Public Health』で報告しているが、震災前後に健診を受けた仮設住宅の住民200人を調べると、震災後には体重、BMI、腹囲、HbA1c(血糖値の指標)が有意に上昇し、HDLコレステロールは低下していた。とりわけ津波被災者では、HbA1cが5.7%以上だった人の割合が14.8%から34.3%へと、2倍以上に増えていた。
筆者らはさらに、相双地域(相馬市、南相馬市、相馬郡および双葉郡)の脳卒中医療を担う南相馬市立総合病院の脳神経外科入院記録を解析した。その結果、震災後の脳卒中による入院リスクは震災前の1.62倍に上昇し、その増加は約2年半にわたって続いた。これは生活習慣病の悪化が脳卒中の増加につながった可能性を示すもので、2015年『Journal of the American Geriatrics Society』に報告した。
2011年当時の相双地域の高齢化率は25.7%。今回被災した宇城市や八代市はそれ以上で、36.4%、35.7%にものぼる。慢性疾患を抱えている人の多くは高齢者だ。今後、この問題は深刻化するだろう。
熊本に医師が多い理由
災害対策で最も重要なのは、災害前から地域に備わっている医療提供体制だ。さまざまな要素が関係するが、人口当たりの医師数はその基礎体力を示す指標の1つである。
実は熊本県は全国的に見て医師が多い。厚生労働省の2024年「医師・歯科医師・薬剤師統計」によると、人口10万人当たりの医師数は291.6人で、全国平均の267.4人を大きく上回り、47都道府県中17位だ。



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