実際、連ドラ版の事故現場はすべて架空の施設でしたが、劇場版からは臨場感を増すためにリアルな場所を物語の舞台にしていました。
また、制作サイドは熊本地震が発生する前から劇中の被災シーンへの注意をうながしていました。つまり「直近で現実に大型地震が発生していなかったとしても、自分にリンクさせてショックを受けてしまう可能性がある物語」ということでしょう。
それらの理由から現実の出来事とエンタメ作品を比べるのは当然であり、「別物」と割り切れる人ではなく、リンクさせてショックを受けるかもしれない人に合わせるという判断は妥当だといえます。
そもそも5年前の21年夏に放送された『TOKYO MER』は近年の医療ドラマで最もヒットした作品であり、23年4月、25年8月に続編の映画が公開された人気作。
「人の命を救う」「連ドラから映画シリーズ化」という共通点では、『海猿』『コード・ブルー -ドクターヘリ緊急救命-』に続く作品であり、いずれも「劇場版は大きな災害や事故・事件を扱うことでスケールの大きさを表現する」という傾向があります。
もともとスタッフやキャストが「祈るように公開日を待つ」映画
ただ、忘れてはいけないのは、これらの作品には「大きな災害や事故・事件が発生する前に見てもらう」という前提があること。
世間の人々が「もし大地震が発生したら……」「航空機やフェリーの事故に遭遇したら……」などと不安を抱くような設定が採用されています。実はスタッフやキャストが「現実の災害や事故・事件が起きませんように……」と祈るような気持ちで公開日を待つタイプの作品であり、もともとリスク前提の作品と言っていいでしょう。
事実、『TOKYO MER』は昨年8月の劇場版第2弾「南海ミッション編」も公開直前の7月に、物語の舞台であるトカラ列島で群発地震や噴火活動が発生し、島民が避難するという危機に見舞われました。公開延期も協議される中、被害の拡大などが見られなかったことから、何とか予定通り公開されたことが記憶に新しいところです。


※ログイン後、コメント入力が可能です。