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32歳社員「8分で転職先への手土産を入手」、"数億円"注ぎ込んだ独自技術が競合に奪われ、発覚は半年後…内部不正の恐怖

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パソコンを前に考え込む若い男性社員
「S田製作所」32歳のエンジニアTが情報を持ち出すまでの経緯は…(写真:すとらいぷ / PIXTA)

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サイバー攻撃の脅威が叫ばれる一方で、企業の情報漏洩の多くは、実は「外」からではなく「中」から起きている。退職者による営業秘密の持ち出し、いわゆる「手土産転職」や生成AIやクラウドサービスへの意図しない機密情報の入力――。

悪意の有無を問わず、正規の権限を持つ従業員が起点となる「内部不正」「内部脅威」は、今や経営層が向き合わざるを得ない経営リスクとなっている。内部脅威対策事業を手がけてきたエルテスは、年間5605億件に及ぶログを分析し、そのなかから「重大」と判定される事案を年間72件検知しているという。

エルテスへの取材と、同社が蓄積してきた事例をもとに、内部不正の“現在地”を追った。

※本記事冒頭のエピソードは、エルテスが検知してきた複数の内部不正事案の類型をもとに再構成したフィクションです。登場する企業名・人物名はすべて架空のものです

午後2時、上長が離席した8分間がもたらした甚大な被害

精密部品メーカー、仮に「S田製作所」としよう。開発部でコア技術を担当してきた32歳のエンジニア「T」は、半年前から転職活動を進めていた。競合の外資系メーカーと面接をしたのは、先週のことだ。

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面接で高く評価されたのは、Tがこの3年で磨き上げてきた独自の制御アルゴリズムだった。「あなたが実際に手がけたコードを、見せてもらえますか」。転職エージェント経由で伝えられたその一言が、Tの頭から離れなかった。

――自分が書いたコードだ。これを転職先で役立てることの、何が悪い?

Tの所属チームでは、機密ファイルを外部へ持ち出す際、上長の承認が必要だった。しかしその上長は多忙で、承認作業で仕事が止まることを嫌っていた。数カ月前、上長は自身のログインIDとパスワードをTに教えていた。「急ぎのときは、自分で入って承認しておいてくれ」。

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