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そもそも円安の要因とは? 主要国と超低金利の日本との金利差が最大要因、日本の資産の信認低下を懸念する声も

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(写真:ブルームバーグ)

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日本の政策当局者は、介入後も円安基調が続いていることに警戒を強めている。円安は輸入物価を押し上げ、家計の負担増加につながりかねないためだ。円安は日本だけでなく、米国にとっても懸念材料となっている。

政府・日本銀行は5月27日までの1カ月間に月次で過去最大となる11兆7349億円の円買い介入を実施したが、円安基調を反転させるには至らず、円相場は7月23日に対ドルで約40年ぶりの安値を付けた。

これを受けて、日米財務相は3日、7月31日の外国為替市場で日米が協調介入を実施したことを明らかにし、さらなる介入も辞さない姿勢を示した。片山さつき財務相は同日の談話で、今回の協調介入について、2025年9月の日米財務相共同声明に基づき実施されたとし、「最近見られた円の過度な変動や無秩序な動きに対処したものだ」と説明した。

関係者によると、政府・日銀は30日のニューヨーク外国為替市場でも介入に動いたほか、米通貨当局が「レートチェック」を行った。

Photographer: Toru Hanai/Bloomberg

円安の背景は?

円安には複数の要因がある。最大の要因は、超低金利の日本と米国など主要国との金利差だ。投資家は低コストで円を借りて海外の高利回り資産に投資しやすい状況にあり、その結果、円には売り圧力が持続している。日銀は6月の金融政策決定会合で政策金利を31年ぶり水準の1.0%程度に引き上げたが、世界的に見ればなお低水準だ。

長期金利の上昇や財政拡張への懸念から、日本の資産の信認低下を懸念する声もある。政府債務残高は対国内総生産(GDP)比で200%を超え、主要国で最も水準が高い。慢性的な財政赤字は円に対する信認を損ないかねない。

中東情勢を巡る緊張の長期化も円安圧力を強めている。エネルギーのほぼ全量を輸入に依存する日本は、地政学リスクを抱えている。原油価格が上昇すれば、日本はエネルギーの輸入代金を決済する際にドルをより多く支払う必要が生じ、円よりも外貨の需要が高まる。

中東情勢を背景とする世界的なインフレ圧力の高まりを受け、市場では米利下げ観測が後退し、利上げを織り込む動きが強まった。これによりドル建て資産の魅力が一層高まり、円にはさらなる下押し圧力がかかっている。

なぜ円安が懸念されるのか?

円安は訪日客の増加や輸出企業の利益押し上げにつながる一方、エネルギーや原材料の輸入に頼る日本経済にはコスト増をもたらす。家計に対するインフレ圧力を高めると共に、内需企業の利益率を圧迫する。

足元では、国内でインフレが定着しつつあるとの見方が強まっている。日銀は、為替相場の変動が物価に与える影響が従来よりも大きくなっているとみており、企業の価格転嫁が進む中で円安が物価をさらに押し上げるリスクを警戒している。

なぜ円安は米国にとっても問題なのか?

トランプ米大統領は、円安が日本の製造業に不公正な貿易上の優位性をもたらしていると繰り返し批判してきた。この問題は、日米間の通商交渉でも取り上げられた。昨年3月には、対抗措置として日本製品への関税措置を示唆し、一段と強硬な姿勢を示した。

米国が7月下旬に円相場の下支えに動いたことは、米政府の姿勢の変化を示している。トランプ氏は、為替市場への介入は日本との友好の証しだとの認識を示した。

米国にとって、円安の影響は貿易面にとどまらない。日本は米国債の最大の海外保有国でもある。日本が円下支えのため米国債を売却すれば、債券価格が下落し、イラン戦争に伴うインフレですでに上昇圧力がかかっている借り入れコストをさらに押し上げる恐れがある。

円安を食い止める手段とは?

円安への対応策のうち、最も即効性があるのが為替介入だ。政府・日銀が外国為替市場で円を売買し、為替相場に影響を与える。当局が過度な変動を容認しない姿勢を市場に示すシグナルとなり、投機筋による通貨の急落や急騰を抑止する効果も期待される。

日本は長年にわたり大規模な為替介入を実施してきた。かつての介入は主に円安を促すものだったが、近年は逆に円安を食い止めるために行われている。24年に4回実施した円買い介入では、総額15兆円規模の資金が投じられ、いずれも1ドル=160円近辺で実施された。市場では、この水準が介入に踏み切る一つの目安として意識されてきた。

当局は、実際に円を売買しなくても市場に影響を及ぼすことも可能だ。政府高官が口先介入を行い、過度な変動を容認しない姿勢を示すことで投機筋をけん制することもある。財務相や財務官は、介入への距離感に応じ表現を使い分ける。「必要があれば断固たる対応を取る」といった強い表現は、市場で介入警戒感を高めるシグナルとして受け止められる。

為替介入はどのように行われるのか?

日本は為替レートは市場で決定されるべきだとする国際的な合意にコミットしている。一方、20カ国・地域(G20)は、過度の変動や無秩序な動きが経済や金融の安定に対し悪影響を与え得るとの認識を示しており、変動が激しい場合には介入の余地がある。 

日本では介入の実施を財務省が決定する。実務は日銀が担当しており、限られた民間銀行との取引を通じて円相場を誘導する。介入の規模は、財務省が求める効果や市場の反応の速さに左右される。

円買い介入に使われる資金は、現金や米国債などで保有する外貨準備から拠出される。24年の円買い介入の際、日本は介入資金を確保するため米国債の一部を売却したとみられる。今年4-5月に実施した為替介入でも米国債を含む保有外国証券を活用した可能性が高い。

市場をけん制するため、政府は通常、介入の有無を直ちには明らかにしない。このため市場参加者は、財務省が月末に公表する月次ベースの「外国為替平衡操作の実施状況」で確認することになる。市場参加者の疑心暗鬼を誘うことも政府の戦略の一環であり、当局者の発言は特に大きな影響力を持つ。

介入の効果は? 

日本の通貨当局が為替市場に介入すると、短時間に大きな変動が生じるのが通例だ。過去には、円が対ドルで介入直後に約2円、数時間で4-5円程度上昇した。もっとも、為替相場を左右する経済ファンダメンタルズ(基礎的諸条件)の課題に取り組まない限り、効果は一時的なものにとどまることが多い。

外貨準備は本来、大規模な金融ショックや不測の事態から経済を守るためのもので、通貨を継続的に下支えするために活用されるものではない。市場の環境が変わるまでの時間稼ぎにはなり得るものの、単独介入では市場全体の流れを反転させる可能性は低い。

為替介入の限界も浮き彫りとなった。当局が4月30日とその後数日間に介入したとみられる局面で、円は対ドルで急伸するなど効果は即座に表れたが、その勢いは長続きしなかった。

その後、日米協調介入により、円相場は7月下旬に円高方向へ押し上げられた。日本の通貨当局は、7月30日の外国為替市場で約8兆4500億円、翌31日に約5兆3300億円規模の資金を投じた可能性がある。

為替介入を継続できるのか?

問題は、政府が介入を続けられるかどうかではなく、どのような場合に介入することに意味があるのか、適切なタイミングはいつかということだ。財務省は、6月末時点で1兆900億ドル(約172兆円)の外貨を保有しており、介入余力は十分にある。

片山財務相は、米国連邦準備制度の「外国・国際通貨当局(FIMA)向けレポファシリティー」をある程度早い時期に活用したいとの考えを示している。この制度は、海外の中央銀行が保有する米国債を担保にドル資金を調達できる仕組みで、市場で米国債を売却して現金を確保する必要がない。

政府・日銀が考慮すべき点は他にもある。為替介入による急激な相場変動は、商品の価格設定や支払い、為替変動リスクをヘッジする企業の対応を難しくする。

政府にとっても介入には政治的・外交的なリスクも伴う。特に円売り介入は、輸出企業に有利に働くため、為替操作との批判を招く恐れがある。一方、円買い介入であれば、そうした批判は受けにくい。

円安への他の対応策は?

為替介入以外にも、日本は金融・経済のファンダメンタルズに働き掛けることで円安に対処することが可能だ。理論上、金融引き締めによって日米の金利差が縮小すれば、円建て資産の魅力が高まり、円を支える効果が期待できる。もっとも、24年3月のマイナス金利政策の解除直前と比べて、日米の政策金利差はすでに半分以下に縮小したが、円安基調は続いている。

この他、海外にある資金を日本に還流させ、国内投資の拡大を企業に促すことも選択肢となる。国内投資が増えれば円建て資産への需要が高まり、経済成長の加速によって海外投資家にとっても日本がより魅力的な投資先となり得る。高市首相は6月、AIや半導体、防衛、造船など戦略分野への民間投資を促進し、日本の成長率引き上げを目指す成長戦略を公表した。

片山財務相は、年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)を含む公的年金基金に対し国内資産への投資拡大を促したほか、少額投資非課税制度(NISA)の対象に国債を加える案を示した。高市首相も家計やGPIFによる国内金融資産への投資拡大の重要性に言及。一部の市場関係者は、日本政府が円相場に影響を与える新たな手段を模索している可能性があるとみている。

政府支出の抑制や膨張する政府債務の削減といった財政改革も、財政への信認を高め、日本の資産の魅力を向上させることで、中長期的に円を支える要因になり得る。

もっとも、こうした施策の大半は効果が表れるまでに時間がかかるとみられる。

原題:Why Japan Is Propping Up the Yen With US Help: Explainer(抜粋)

--取材協力:グラス美亜.

著者:氏兼敬子、横山恵利香

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